現実を知った香代さんの「その後」

「息子さんは高収入ですが、現在はお子さんの教育費で家計に負担がかかっています。さらに、今後は自分たちの老後資金の準備も始めなければなりません。このままでは、息子さんが老後に困窮するリスクも高まります」

その言葉に、香代さんはハッとした表情を浮かべました。

「私……息子に甘えすぎていました。将来まで迷惑をかけるわけにはいかないわ」

面談後、親子で話し合った結果、仕送り額を月20万円から13万円に減額することを決定。ただし「母にも楽しみは必要」として、年1回30万円を「自由に使えるお金」として渡すことにしました。ブランド品や旅行など、使い道は自由です。

また、生活費の内容を共有し、支出の透明化を図ることも約束。高級品の一部は売却し、生活予備費にあてることにしました。さらに、定期的にFPによる家計チェックを受けることで同意。

「あれから反省して、徐々に以前の生活に戻れるように頑張っています。でも、年に1回の“ご褒美”があるでしょう? それを楽しみに、慎ましく過ごしたいと思います」

あとになってそう語る香代さんの表情には、以前とは違う穏やかな笑顔が浮かんでいました。

辻本 剛士
神戸・辻本FP合同会社
代表