厚生労働省「国民生活基礎調査(令和元年)」によると、全世帯のうち約2.4%の世帯が「親への仕送りをおこなっている」そうです。そんな「親への仕送り」について、苦労をかけた母親への恩返しとして「月20万円」の高額な仕送りを続ける青山さん(仮名・55歳)の事例を紹介します。母を想う気持ちが招いた“まさかの悲劇”をみていきましょう。※プライバシー保護のため登場人物の情報を一部変更しています。
冗談だろ…〈年金月10万円〉と〈仕送り月20万円〉で暮らす78歳母から「お金が足りない」と催促が。怪しんだ55歳息子が“こっそり”帰省→実家で目にした“まさかの光景”【CFPが警告】
無自覚の恐怖…香代さんが直面している危機
翌週、紀彦さんは香代さんを連れて、FPの事務所を訪れました。応接室に迎えられると、香代さんは少し笑いながら話し始めます。
「なんだか、息子に怒られちゃってね。でも、これから余計なものを買わなければいいだけでしょう? 息子は頭が良いから、心配しすぎなのよ」
その言葉を聞いたFPは、真剣な面持ちで言いました。
「お母さま、この現状はかなり危険です」
60代の4人に1人…意外と多い「老後破産」の割合
日本弁護士連合会が公表した「2020年破産事件及び個人再生事件記録調査」によると、自己破産を選択した人のうち60歳以上の割合は25.72%※にのぼります。
※ p2「(2) 破産債務者の年齢・性別」の60代:16.37%、70代:9.35%を合計した数値。
内訳を見ると、60歳代が16.37%、70歳代以上が9.35%となっており、4人に1人は高齢層であることがわかります。これは「老後破綻」が決して特別な事例ではなく、誰にでも起こりうる可能性があることを示しています。
老後破綻する人には、以下のような共通した特徴があります。
・生活水準を落とせない
・医療費や介護費の増加
・年金以外の収入が少ない・不安定
上記に加えて、「老後資金が十分にある」と思い込んで安心し、無計画にお金を使ってしまうケースも少なくありません。一度上げてしまった生活水準を下げるのは難しく、そのまま支出が続いて気づけば貯金が底をついていた……という事態になりかねないのです。
老後の生活を安定させるためには、以下のような基本的な対策が欠かせません。
・支出を“見える化”する
・毎月の生活費は予算内に収める
・余裕資金がある場合も、定期的に見直しをする
また、健康的なライフスタイルを維持することも、医療費や介護費の抑制につながります。健康寿命を延ばすことが、結果的に老後の支出全体を抑えることにもなるのです。
「年金があるから」「貯金があるから」と安心するのではなく、見通しをもって生活を組み立てることが老後破綻を防ぐ対処法となるでしょう。
