さまざまな理由で地方移住を検討している人は増えています。とはいえ地方移住のリスクは決して低くなく、きちんとした下準備ができていなければ後悔する可能性が高まります。定年後に静岡へ移住した65歳・水上夫婦(仮名)の事例をもとに、地方移住の実態と失敗しないためのポイントをみていきましょう。辻本剛士CFPが解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
東京よ、さらば…〈年金月23万円〉〈退職金2,000万円〉65歳夫婦が念願の「静岡移住」を断行→1年後、新たな実家に立ち寄った33歳長男“まさかの光景”に絶句【CFPの助言】
リスクの高い「カフェ開業」が成功した納得の理由
念願だった「カフェの開業(初期投資500万円)」は、移住後すぐに始めたわけではありません。
まずは地域の人々と交流を重ねるなかで「このあたりには、こんなお店があったら嬉しい」という声を少しずつ拾い上げ、そこから発想を膨らませて形にしたのです。
夫婦は、地域のイベントや集まりにも積極的に参加。ただ住むだけではなく「関わること」に価値を置いたことが、結果的に移住成功の大きな要因となりました。
もちろん、行動力や地域とのつながりだけでなく、早くからコツコツと整えてきた土台があったからこそ、無理のない形で夢を叶えることができたともいえるでしょう。固定費の見直し、NISAでの資産運用、無理のない住宅ローン……それら1つひとつが、将来の選択肢を広げる力となりました。
「移住を成功させるには、予算の管理と地域コミュニティとの関わりがなにより大事でした」
そう語る武司さんの姿には、自分らしい老後を切り開いたたしかな実感がにじんでいました。
辻本 剛士
神戸・辻本FP合同会社
代表