夫に内緒でNISA口座を開設…千佳さんが選んだ銘柄は？

数日後、後輩のアドバイスをもとにネット証券にNISA口座を開設した千佳さん。ただし、このことは夫には内緒です。

俊さんは投資に消極的であったため、「もし相談して反対されたら、せっかく芽生えた投資意欲が削がれてしまう」と考えての決断でした。

しかし、千佳さんはNISAのことも株と投資信託の違いもよく知りません。なにを買えばいいか見当もつかなかったため、とりあえず同僚と後輩に相談した結果、2人と同じ銘柄を買うことに。

そして、千佳さんは2024年8月末、1,500万円の定期預金のうち、約500万円を投資にあてました。

〈千佳さんが購入した株〉

・海運株……200株（100万円）

・商社株……200株（60万円）

・自動車株……200株（50万円）

・銀行株……200株（30万円）

・S&P500連動投資信託……260万円分

■合計……500万円

NISAの成長投資枠で買付できる額は年間240万円であるため、NISAで買えない分は特定口座で保有。

株価は日々刻々と変動するため、運用状況が気になる千佳さんは1日に何度もスマホをチェックするようになりました。

とはいえ、株価の動きは把握してもどうすればいいかわかりません。2ヵ月もすると株価チェックにも飽きてしまったそうです。

千佳さんがパニックに陥った“大事件”

その後、売却も追加投資もすることなく年を越し、職場でも投資の話題がほとんど出なくなった4月初旬のこと。千佳さんは「トランプ関税の影響で日経平均が急落」というニュースを目にしました。

「これって私にも関係あるのかな……？」

千佳さんは、久々に投資した株価の推移をチェックすることに。すると、保有資産全体の損益が100万円超の含み損となっています。

「待って私、500万円投資したよね？……え、100万円消えちゃったってこと!?」

投資初心者の千佳さんはパニックに陥りました。

「大失敗よ！　やっぱり投資なんてギャンブルと一緒だわ！　あぁ、どうしよう……」

これ以上の損失を恐れた千佳さんはその日、唯一プラスとなっていた銀行株を除いた全銘柄（株と投資信託）を売却。100万円超の損失を確定させてしまいました。