自分だけで抱え込まず、話し合うことから始めよう

物価上昇と子世帯の収入が不安定という二重の負担を抱えながら、年金で家族を支えている鈴子さん。かつて思い描いていた「穏やかな老後の暮らし」は、現実の中で少しずつ遠ざかっているのかもしれません。

しかし、そうした不安や重荷を一人で抱え込んでしまうことが、最も避けるべき状況です。生活費の負担、将来の医療や介護への備え、家計への行き詰まり…いずれも「話し合い」と「共有」がなければ、状況は改善しません。お金の話は、気まずく感じたり、遠慮してしまったりするものです。

それでも、家族の将来を守るためには、現実を見据えて率直に話すことが大切です。「支える・支えられる」という一方通行ではなく、それぞれの立場や役割を見つめ直すことが、無理なく共に生きる形を築く第一歩になります。

そして、制度や支援策、専門家のアドバイスを活用することも、老後の安心を守る手段の一つです。抱え込まずに、助けを求める。この行動こそが、これらの暮らしに必要な「選ぶ力」なのかもしれません。

南 真理
ファイナンシャル・プランナー