妻の介護で手いっぱいの浩一さんだが…“新たな収入”を確保する方法とは

FPにこれまでの一連について話をすると、FPは冷静な口調で言いました。

「それは大変でしたね。公務員でも、老後の生活に油断は禁物です。まずは現状を整理し、資産の目減りをおさえる方法を一緒に考えていきましょう」

そしてFPは、家計改善のための具体策について説明。まずはしばらく、趣味や娯楽に使う時間やお金を減らすことにしました。

また、貯蓄を減らさないようにするためにはできるだけ収入を確保することも必要です。

「でも、妻の介護や家事で外に働きに出るのが難しくて……」

そこでFPと相談のうえ、在宅でできる仕事を探し、わずかな収入でも働くことにしました。

また、介護については浩一さんがたった1人で担っていたため、FPは玲菜さん夫妻の協力を得て、負担を分散させることを提案しました。

さらに、介護サービスには税制上、医療費控除の対象になるものとならないものがあり、また、介護の状況によっては障害者控除が受けられる場合があると説明。浩一さんは今後、節税方法についても確認していくことにしました。

“公務員安泰神話”の過信はNG…「万が一」に備え、コツコツと資金準備を

こうして老後プランを再設計した浩一さんは、“公務員安泰神話”の過信を反省。地に足をつけ、FPの助言をもとに再出発しました。

年金や退職金、貯蓄などが十分にあっても、病気やケガなどをきっかけに突然多額の支出が発生することがあります。

老後は計画どおりに進まないもの。“理想の老後”を楽しみつつも、「いまたくさんお金があるから大丈夫」と楽観せず、できるだけ今後のお金の備えをしておきたいところです。

五十嵐 義典
CFP
株式会社よこはまライフプランニング 代表取締役