“理想の老後”を手に入れた夫婦だったが…

鈴木浩一さん(仮名・65歳)は、長年国家公務員として勤務してきました。2,200万円の退職金を受給し、65歳からは月22万円の年金を受給しています。

3歳年上の妻・美幸さん(仮名・68歳)の年金は月9万円で、夫婦合わせて月31万円。浩一さんは、この年金額に満足しています。退職金を含めた貯蓄は合計5,000万円あり、住宅ローンは完済していたこともあって、月々の支出は年金だけで賄うことができそうです。

ひとり娘の玲菜さん(仮名)もすでに社会人として独立しており、これからは夫婦2人での暮らし。

現役時代は夜遅くまでの残業や、休日出勤を余儀なくされてきた浩一さんは、「退職金も年金も十分あるし、これからは夫婦の時間を大切にしたい」と考え、65歳以降は再就職も一切せず、完全にリタイアすることにしました。

そのため定年後は、念願だった夫婦での海外旅行や自宅のリフォームなど、悠々自適な老後を満喫していたそうです。玲菜さんの結婚祝いなども貯蓄から賄うことができ、充実した暮らしを楽しんでいました。しかし……。

お金がどんどん消えていく…浩一さん夫妻の暮らしが“一変”した悲劇

ある日、夫婦で趣味のジョギングを楽しんでいたところ、美幸さんが転倒。

思っていたよりも重症で、病院に行ったところ、美幸さんは脚を骨折していることがわかりました。以前のように自由に動き回ることもできなくなり、介護が必要な状況に。

治療費や介護費、また、美幸さんが暮らしやすいよう再度自宅を改修することになり、こうした費用が家計を圧迫していきます。気がつくと、5,000万円あった貯蓄は2,000万円台にまで減っていました。

「お金がどんどん消えていく……こんなはずじゃなかった……」

短期間で3,000万円近いお金を使ったことにより、今後の生活が不安になった浩一さん。今後の資金計画について専門家の助言を仰ぐため、ファイナンシャルプランナー(FP)のもとへ相談に向かいました。