「おしゃれな部屋に住みたいけれど、センスがないから無理」と思っている人は少なくないのでは? でも、居心地のいい空間をつくるのに特別な才能は必要ありません。むしろ、身のまわりにあるものや、自分の「好き」を活かすことで、誰でも心地よい部屋はつくれます。インテリアデザイナー・飯沼朋子さんの著書『イギリス人の部屋はなぜ物が多くても素敵なのか』(飛鳥新社)より一部抜粋し、“センス”に対する誤解と、自分らしい空間づくりのヒントをご紹介します。
センスには2種類ある…「センスがないからすてきな部屋にできない」の誤解【インテリアデザイナーが解説】
「センスがないからすてきな部屋にできない」は思い込み
「足す」ことがすてきな部屋につながることはわかっても、「私にはセンスがないからムリ」と思った方もいるかもしれません。大丈夫です。
「センス」とは特別な人に備わった才能ではありません。「センス」=「クリエイティブ(創造力・想像力)」ととらえてしまいがちですが、インテリアで発揮すべきセンスは、独創的なアイデアではありません。そう思えたら、インテリアに対するハードルはグンと下がるのではないでしょうか。
私はインテリアのセンスは、2つあると考えています。
①「知識」と「情報」で補えるセンス
②「個性」と結びついた唯一無二のセンス
一つめの「知識」と「情報」で補えるセンスは、だれでも身につけられます。
「視線誘導」や効果的な家具の配置方法、照明による陰影のつけ方などのテクニックを知ることで、「おしゃれな部屋」をつくることができます。でも、テクニックやセオリーに頼るだけのインテリアでは、本当の意味での居心地のよさにはつながりません。
そこで大切になるのが、二つめの自分の個性と結びついたセンスです。だれでも唯一無二のセンスを持っています。個性にいい・悪いがないように、このセンスにもいい悪いはありません。あなたが「これ、すてきだな」と思って購入した服や文具、書籍など、また、大切にしているバッグや靴などは、あなたのセンスそのものなのです。「心地のいい部屋」のヒントはここに隠されています。
たとえば、「黒と白のインテリア」と聞いて、どんな部屋を思い浮かべますか? ある人はスタイリッシュな部屋を、ある人はチェスボードのような遊び心のある空間を思い浮かべるかもしれません。まったく同じ間取りの部屋で同じ家具を使ったとしても、そこに足すクッションやラグなどの違いで雰囲気は変わるでしょう。そのくらい、一人ひとりのセンス(個性)には大きな違いがあるのです。
自宅にあるモノの多くは、あなた自身が選んだモノですよね。「うちのインテリアがイマイチ」と感じているあなたは、持っているモノをうまく活かせていないのかもしれません。もし、引き出物やプレゼントなど、気に入らないけれど捨てられないモノを持っている場合は「悩み1」の解決方法など、何かを足したりすることで印象を大きく変えることもできます、本書で知識と情報を増やし、その過程で自分自身と向き合いながら、あなただけのセンスを発見していきましょう。