「おしゃれな部屋に住みたいけれど、センスがないから無理」と思っている人は少なくないのでは? でも、居心地のいい空間をつくるのに特別な才能は必要ありません。むしろ、身のまわりにあるものや、自分の「好き」を活かすことで、誰でも心地よい部屋はつくれます。インテリアデザイナー・飯沼朋子さんの著書『イギリス人の部屋はなぜ物が多くても素敵なのか』(飛鳥新社)より一部抜粋し、“センス”に対する誤解と、自分らしい空間づくりのヒントをご紹介します。
センスには2種類ある…「センスがないからすてきな部屋にできない」の誤解【インテリアデザイナーが解説】
インテリアのテイストはそろえなくていい
インテリア小物や家具のテイストがそろっていないと、「部屋がイマイチに見えるのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、現実問題として、ほとんどの人はテイストがそろっていないモノに囲まれて暮らしています。
もちろん、「よし、○○スタイルでいこう!」と予算をかければ、ショールームのようにすてきな部屋に仕上がるかもしれません。でも、そんなタイミングも予算も、なかなかないですよね。それに、 「足す」インテリアでは、テイストがそろっていないほうがかえって空間のリズムとなっていいのです。
イギリス人はアンティーク家具が好きな人が多く、モダンなモノと古いモノをミックスさせることで、豊かさと深みのある魅力的な空間をつくり出します。このような「ミックススタイル」は、文字通り、様式やテイストにこだわらず、さまざまなスタイルのモノ同士をミックスしてコーディネートすることを言います。
ミックススタイルの魅力は、何を組み合わせるかを自分で決められる点です。自分の好みに合わせて自由に選び、その結果としてできあがる空間は「私スタイル」という唯一無二のスタイルになります。
一方、特定のスタイルにこだわって、「北欧スタイルはこうあるべき」などと決めつけてしまうと、自由でなくなります。たとえば北欧スタイルの部屋に、イタリアモダンなイスがあっても、日本の浮世絵を飾ってもかまいません。ルイ16世スタイルのイスも世界的に人気があり、さまざまなインテリア空間で使われています。
つまり、インテリアを楽しむ秘訣は、特定のスタイルにとらわれず、自由に組み合わせることなのです。
飯沼朋子
株式会社デコール東京 代表取締役
建築士、インテリアデザイナー、アートアドバイザー