イギリスのインテリアは「正解がない」

はじめまして。飯沼朋子と申します。

インテリアデザイナーとして、リフォーム設計をしたりインテリアコーディネートの仕事をしたりしています。また、一般の方やプロの方、プロを目指す方に、これまで培ってきたノウハウをお伝えする講師もしています。

私は日本のスクールとイギリスの名門校でインテリアデザインを学びました。

イギリスは、自由な発想を大切にしていて、「足すインテリア」や独創的なアイデアに驚かされました。イギリスのインテリアで、もっとも印象深いのは、 「正解がないこと」 。それが、インテリアデザインの楽しさにつながっている印象です。

いまでも展示会シーズンなど可能なかぎりイギリスに行っていますが、現地のインテリアデザイナーと交流し、その情熱に触れることはとても刺激的な時間です。

そして、なんといっても驚くのは、デザイナーのみならず、一般のイギリス人たちのインテリアに対する関心の高さ、レベルの高さです。彼らはつねに新しいアイデアを追求し、ちょっとした「模様替え」をたびたびしています。

イギリスにも狭い部屋はたくさんある

「いや、日本の家は狭いから、イギリスとは違うのでは?」と思う方がいるかもしれませんが、実はイギリスにも小さな部屋はたくさんあります。

イギリス人は小さなスペースを cosy (=居心地のよい)な場所にするのも上手です。イギリス人が考える幸せな住まいの条件は広さではなく、居心地のよさです。ですので、たとえ部屋が狭くても、モノが多くても、持っている家具や雑貨のテイストがバラバラでも、賃貸に住んでいても大丈夫です。

イギリス人がどのように住まいを整えているかというノウハウを、日本で実現しやすい方法でお伝えしていきたいと思います。タイトルにもある「イギリス人の部屋はなぜ物が多くても素敵なのか」の理由でもあります。そして、実はインテリアをすてきにすると、暮らしやすくもなるのです。

なぜなら、「必要なモノを、どうすてきに見せるか」ということを考えてきたのが、イギリスをはじめとするヨーロッパ諸国のインテリアの歴史そのものだからです。

イギリスは、とりわけインテリアへの情熱が強い国です。ヨーロッパでよく知られているこのような表現があります。

・イタリアは食い道楽(Italy is for eaters)

・フランスは着道楽 (France is for dressers)

・イギリスは住道楽 (England is for dwellers)

イギリス人が住空間を整えることで感じている喜びや幸せを見るにつけ、私たち日本人もそのようにできたらすてきだな、幸せな人が増えるな、と思っています。

イギリスは、インテリア雑誌の種類も多く、テレビでは部屋改造やDIYの番組が大人気です。

でも、雑誌にしてもテレビにしても、 「北欧スタイル」や「ナチュラルスタイル」など、「〇〇スタイル」のような、日本みたいな言い方はあまり見かけません。

「私は〇〇からインスピレーションを得た」
「これは私のお気に入り」
「これとこれを合わせてみたの、すてきでしょう?」

と、「〇〇スタイル」とは言い表すことができない「私スタイル」のオンパレードです。

結果として多くのイギリス人は、「自分はインテリアデザイナーになれる」と思っています。イギリスのユーチューブなどを見ても、「よくそんなに話すことがあるなぁ」と感心するくらい、一般の人たちでも自宅のインテリアについて語っています。

一つひとつのインテリアについて「ここが気に入っている!」というポイントを説明しているのです。こんなふうに、自信を持って自宅のインテリアを語ることができたら、楽しいと思いませんか?

飯沼朋子
株式会社デコール東京 代表取締役
建築士、インテリアデザイナー、アートアドバイザー