SNSで知り合った“仲間”から届いた「1通のDM」

こうしたなか、少し前にSNSで知り合ったYさんからDM(ダイレクトメッセージ)が届きました。

「投資に興味はありませんか? よかったら、僕が信頼している投資顧問を紹介したいのですが」

と書かれています。

警戒心はありましたが「いつもリアクションをくれる優しいYさんが言うなら」と、いったん会ってみることに。

投資顧問「貯金は安心だと思い込んでいませんか? 元本保証という言葉に騙されてはいけません。銀行金利と値上がり率を比べてみてください。銀行に預けているだけでは、資産価値が目減りしてしまう一方なんです。僕たちがやっている投資方法をまるっとマネするだけで、元本保証はもちろん、1年後には必ず儲かります」

冷静で知的な語り口に、Yさんと投資顧問のことを信じることにした佐藤さん。

「どうせしばらくは使う予定がないから」と、思い切って定期預金を解約。その一部の500万円を預けることにしました。

その翌月、預けた1割の50万円が振り込まれました。

「おいおい、本当に振り込まれたじゃないか! これならすぐに大金持ちだ」

すっかり信じ切った佐藤さんは、思い切って1,000万円を“追加投資”したそうです。

しかしその後、いくら待っても“運用利益”が振り込まれることはありませんでした。Yさんや投資顧問を責めようにも、すでにアカウントが消えていたため連絡する手段がありません。

困り果てた佐藤さんは警察に相談。しかし預けたお金が戻ってくることはなく、いきなり老後破産の危機に瀕してしまいました。

引っかかるシニア急増中…「SNS型投資詐欺」の被害状況

近年、SNSを使った詐欺の被害が急増しています。警察庁がまとめた「SNS型投資・SNS型ロマンス詐欺の被害発⽣状況」によると、最新の被害状況は[図表]のとおりです。

出所:警察庁「SNS型投資詐欺の被害発生状況」
[図表]被害者の性別、被害者の年齢層 出所:警察庁「SNS型投資詐欺の被害発生状況」

令和6(2024)年1月~6月の半年間において、被害者総数は3,570人。年齢別にみると、男性は50代以上が76.1%、女性は50代以上が73.4%を占めています。

また警察庁は

「インターネットを通じた投資はお金を振り込む前に5つのポイントをチェック。1つでも当てはまったら迷わず警察に相談を」

と呼びかけています。

【振り込む前に確認する5つのポイント】

1.投資先が実在しているか・国の登録業者か確認(参考:金融庁HP「無登録業者との取引は要注意!! ~無登録業者との取引は高リスク~」)

2.「必ず儲かる」「確実」「あなただけ」といった文言に注意する

3.投資を勧めている「著名人」がなりすましではないか確認する

4.投資に関係する「暗号資産」や「投資アプリ」等が実在するか確認する

5.振込先の口座に不審な点がないか確認する