厚生労働省の統計によると、日本で食べ物をのどに詰まらせて亡くなる人の数は、なんと年間3,500人以上。その代表的な食べ物といえば「お餅」ですが、実はお餅と同じくらい窒息しやすい食べ物があるのをご存じでしょうか? 本記事では、法医学者の高木徹也氏による著書『こんなことで、死にたくなかった:法医学者だけが知っている高齢者の「意外な死因」』(三笠書房)より一部抜粋・編集して、のどに詰まらせてしまう仕組みやその危険を回避するための方法などについて解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
のどに詰まらせて死ぬといえば「お餅」だが…同じぐらい危険な“朝食のド定番の食べ物”とは【ドラマ『ガリレオ』シリーズ監修の法医学者が解説】
餅と同じぐらい窒息しやすい「超意外な食べ物」
日本人がのどに詰まらせる代表的な食べ物といえば「お餅」です。
お年寄りがお餅をのどに詰まらせて……というニュースを新年早々に見かけることは珍しくありません。なんと、海外では「ニューイヤー・サイレントキラー(新年の静かなる殺し屋)」などと揶揄されています。たしかに、お餅はモチモチしていて、咀嚼によって細かくしにくいですよね。
しかし、実はお餅と同じくらい、窒息しやすい食べ物があります。それは「パン」です。
一見詰まらせにくいように思えますが、パンは繊維質なので、かむ力が低下した高齢者にとっては細かくしにくい食べ物になります。また、スポンジ状のため、ひとたび気道のほうに留まるとかなり危険です。水分を吸いこんで膨らみ、気道の入り口を完全に塞いで窒息させます。
高齢になればなるほど、どんな食べ物でも油断できません。ちなみに、気道に食べ物が入っていくときには、「ギュッ」という独特の飲みこむ音がします。一緒に食事をしているときに相手からこのような音が聞こえたら、口の中をすぐに確認して、呼吸が変わっていないかを確かめてください。
【このような危険を避けるには……】
・詰まらせやすい食べ物は、あらかじめ細かく刻んでおく。
・周囲の人が見守っているところで食事をする。
・飲みこむときの「音」に注意する。
高木徹也
法医学者