「自分の親の年金を頼りに生きる子供」が社会問題となっています。特に老人ホームに入所している場合、年金は介護費用として重要な収入源です。しかし、その年金を子供が使い込んでしまうケースもあるようで……。今回は、老人ホームで暮らす82歳の母親が、息子の経済的搾取によって追い詰められた事例から、この問題の背景と対策についてFPの三原由紀氏が解説します。

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年金月15万円・82歳母「我が子に迷惑をかけたくない」と老人ホーム入居を決断。もう安心と胸を撫で下ろしたが…月収10万円・52歳息子の「まさかの裏切り」に絶望【FPの助言】
母の施設費用を横領…年金依存の息子の末路
入所時、和子さんは口座管理を隆さんに任せました。「月に一度様子を見に来てくれるし、必要な買い物もしてくれるなら便利」と考えたのです。しかし、隆さんは母親の年金と貯金を自分のために使い始めていたのです。
実は、消費者金融からの借金が50万円ほどあり、返済に追われていたこと、さらにオンラインギャンブルにはまっていたことが後に判明します。隆さんは毎月10〜15万円を和子さんの口座から引き出し、自分の生活費やギャンブル、借金返済に充てていたのです。
ある日、老人ホームの施設長から美香さんに電話が入ります。「2ヵ月分の施設費が未払いになっていますが、何かありましたか?」と問い合わせがありました。驚いた美香さんは母親の銀行口座を確認するため帰京。すると残高がわずか2万円しか残っていないことが判明したのです。
和子さんは「隆が管理してくれていると思っていた」と途方に暮れ、美香さんが隆さんに事実を問いただすと、「一時的に借りただけ。返すつもりだった」と言い訳するばかり。定期預金口座に100万円ほど残っていたことは不幸中の幸いでしたが、やがて資金がショートするのは明らかでした。