母の施設費用を横領…年金依存の息子の末路

入所時、和子さんは口座管理を隆さんに任せました。「月に一度様子を見に来てくれるし、必要な買い物もしてくれるなら便利」と考えたのです。しかし、隆さんは母親の年金と貯金を自分のために使い始めていたのです。

実は、消費者金融からの借金が50万円ほどあり、返済に追われていたこと、さらにオンラインギャンブルにはまっていたことが後に判明します。隆さんは毎月10〜15万円を和子さんの口座から引き出し、自分の生活費やギャンブル、借金返済に充てていたのです。

ある日、老人ホームの施設長から美香さんに電話が入ります。「2ヵ月分の施設費が未払いになっていますが、何かありましたか?」と問い合わせがありました。驚いた美香さんは母親の銀行口座を確認するため帰京。すると残高がわずか2万円しか残っていないことが判明したのです。

和子さんは「隆が管理してくれていると思っていた」と途方に暮れ、美香さんが隆さんに事実を問いただすと、「一時的に借りただけ。返すつもりだった」と言い訳するばかり。定期預金口座に100万円ほど残っていたことは不幸中の幸いでしたが、やがて資金がショートするのは明らかでした。