REPORT…過去30年間の年間金貨購入量と現在価格での評価
分析の概要
1995年から2024年まで、毎年4月5日(週末の場合は直前の営業日)の国内金価格に基づき、年間予算110万円で購入できる金貨の総量を算出しました。金貨は1オンス(oz)、1/2oz、1/4oz、1/10ozの4種を対象とし、できるだけ枚数が少なくなるよう大きい金貨から優先的に購入しています。
また、田中貴金属工業が公表する税込店頭価格データを使用し(手数料・スプレッドは無視)、30年間の合計金貨量を算出しました。さらに2025年初頭の最新金価格で評価した場合の時価総額と利益も見積もりました。
年間購入量の算出方法
各年の4月5日(金相場基準日)における1グラム当たりの金価格から、各種金貨の価格を計算しました。金1oz=31.1035gとして各金貨の価格を求め、110万円の予算内で購入可能な組み合わせを大きな金貨から順に決定しています。
たとえば金価格が安かった1995年は1oz金貨を最大限(約30枚)購入し、残額で1/10oz金貨を2枚追加する組み合わせとしました。一方、金価格が高騰した最近では購入できる金貨枚数は大幅に減少しています。
・金価格の推移例
1995年4月5日の田中貴金属店頭価格は約1,171円/gでした。この価格では110万円で約30.2ozの金(約30枚の1oz金貨と端数を1/10oz金貨で補填)を購入できました。一方、2024年4月5日は約12,278円/gと30年前の10倍超となっており、110万円では約2.85oz(1oz金貨2枚+半オンス金貨1枚+他小額分)しか買えません。
・購入金貨の内訳
毎年の購入量を合計すると“約441.95oz(約13.74kg)”の金貨となりました。この30年間で購入した金貨は、前半の金価格が低い時期に多くのオンスを買えたことから大きな蓄積となっています。
年ごとの購入量は、たとえば1995年は約30.2oz、2000年で約33.45oz、2010年で約9.75oz、2020年で約5.7oz、2024年は約2.85ozというように、金価格上昇にともない購入できる量が逓減しているのがわかります。
30年間の合計金貨量と評価額
こうして30年間で累計約441.95ozの金貨を保有することになりました。総投資額は110万円×30年=3,300万円です。この金貨資産を最新の2025年の金価格で評価すると、驚くべき利益が得られます。
・2025年初頭の金価格
国内金価格は近年急騰しており、2025年2月13日には税込小売価格が1gあたり15,909円と史上最高値を更新しました。仮に15,909円/gの水準で評価すると、441.95oz(≒13,746g)の金貨は約2億1,869万円もの価値となります。
・投資利益の試算
総評価額は約2.19億円に達し、初期投資総額3,300万円との差引で約1億8,568万円の含み益となります。単純計算で元本の約6倍のリターンです。金価格上昇の恩恵により、長期保有した金貨の価値は大幅に増大しました。
考察
過去30年で金価格は一貫して上昇傾向にあり、特に近年その伸びが顕著でした。田中貴金属のデータによれば、1990年代後半は1g=1,000円台でしたが、2020年代には1g=10,000円台半ばへ高騰しています。
毎年コツコツと金貨を積み立てる戦略は、長期的な資産防衛とインフレ対策に有効であり、現時点で巨額の評価益を生み出しています。もちろん将来の金価格は変動しますが、過去30年の実績からは「定額で金貨を積み立てる」戦略の有効性が示唆されました。
〈参考情報〉
・1995年から2024年まで、毎年4月5日(週末の場合は直前の営業日)の国内金価格で算出
・年間予算110万円で購入できる金貨の総量を算出
・田中貴金属工業が公表する税込店頭価格データを使用(手数料・スプレッドは無視)
・2025年初頭の最新金価格で評価した場合の時価総額と利益も見積もり