現役時代は真面目にコツコツ働いて資産を形成し、老後は貯金と年金で穏やかに暮らしたい……そう考える人も多いでしょう。しかし、たとえ自分たちが贅沢をしなくとも、「老後破産」の火種は意外なところにくすぶっているものです。溺愛するひとり娘に老後生活を脅かされる夫婦の事例をみていきましょう。石川亜希子FPが解説します。

31歳“箱入り娘”が告げた「衝撃の事実」に戦慄…年金月27万円・貯金4,000万円の60代仲良し夫婦、穏やかな老後を脅かす“悪意なきスネかじり”に涙目「これ以上はもう、ムリ」【FPの助言】
能天気な娘から告げられた「衝撃の告白」
「3人目を授かっちゃった……」
AさんとBさんは思わず顔を見合わせました。
あっという間に出産を迎え、Cさんは上の子ども2人を連れて里帰りしてきました。
3人目は初めての男の子。色々な不安はあったものの、AさんもBさんも目尻が下がりっぱなしです。
ただ、上の姉妹はCさんの育児休業中も保育園に通っていて、毎日Aさんが片道30分、送迎をすることになりました。
また、夫婦2人暮らしからにぎやかな5人暮らしとなり、食費や消耗品費、水道光熱費も跳ね上がりました。子どもたちの世話や遊び相手など、体力的負担も増大しています。
かわいい娘と孫のためと思ってはいても、AさんもBさんも自分の家なのにくつろげない日々が続き、心身ともに疲れてきました。
Cさんに悪気はないのですが、実家にお金を入れようという意識もなさそうです。
すでに産後1ヵ月は過ぎていて、いつまでいるつもりなんだろう…そんなふうに思っていた時、Cさんが言いました。
「お父さん、祖父母から孫への教育資金って、1,500万円までは一括でもらっても税金がかからないんだって~。あとはね、年間に110万円ずつでもいいらしいの。かわいい孫のために考えてよ~」
ねだる娘に、堪忍袋の緒が切れる
Aさんの不安などまったくわかっていない娘の能天気なお願いに、ついにAさん、
「いい加減にしてくれ! そんな金はない!」
「親の財産は子どもの財布じゃないんだ!」
と、声を荒らげてしまいました。
BさんもCさんも、いつも温厚なAさんの剣幕にびっくり。Aさん自身、そんなことを言うつもりがなかったので、自分でも驚いてしまいました。
隣の部屋で赤ちゃんが泣き出し、その場はそこで終わりましたが、翌日、CさんはAさんに言いました。
「お父さん、この家の事情とかお父さんがもう仕事していないとか全然考えていなくて、いつまでも甘えてばかりいてごめんなさい。週末に夫に迎えに来てもらって戻るね」