春は歓送迎会が最も多く行われるシーズン。お酒を飲む機会が増えますが、飲酒する際にむせた経験はないでしょうか? もし、20代と比べてその頻度が高くなっている場合は要注意! 単なる加齢のサインではないかもしれません。40代・50代から始まるこの病気は、放置すると要介護・死亡リスクを高め、医療費負担の増加や生産性低下に繋がる可能性も。健康寿命を延ばし、活気ある経済社会を維持するためにも、早期対策が重要です。本記事では幸町歯科口腔外科医院院長の宮本日出氏が、意外と知られていない口腔機能に関する病気について解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
飲むときに、むせる…50代の2人に1人、発症4年後に死亡するリスクは2.1倍。疑うべき「恐ろしい病気の名前」【歯科医師が警鐘】
ビール、おでん…居酒屋でも口腔機能は鍛えられる
実は「口腔機能は居酒屋でも鍛えられる」が持論です。著者が居酒屋で実践している方法をご紹介します。
ビール党なので最初にビールを一口グッと飲むのですが、この際に「今日の嚥下状態はどうか?」「むせはないか?」を確認します。そして一品目は「焼きたらこ」を注文。口に頬張ると粒々が口中に広がりますが、これを舌回しをしながら取り除きます。
ビールを飲むとトイレが近くなるので、トイレでは全力5秒うがいをします。トイレでうがいをするには手に水をすくうことになりますが、トイレ直後なので十分に手を洗うことになります。つまり「手洗い」「うがい」を行うので、感染対策にも役立ちます。
席に戻り、次に「串おでん」を注文。串から具を取る際には、歯を使わずに唇を窄めて具を串から外すことで唇機能が鍛えられます。唇を窄めて熱いおでんを「フーフー」と息を吐いて冷ますのも唇機能には効果的です。そして「焼き鳥」も同じく唇だけで具を外します。おでんより難しく、唇機能はかなり鍛えられるうえに、両側の奥歯で35回噛めば咀嚼力も鍛えられます。
オーラルフレイル対策は「継続」することが大切ですが、「楽しい」ことも重要なのです。最近の研究で「よく笑う人にはオーラルフレイルが少ない」ことが判明しました。居酒屋での対策は楽しいお話をしながら行うと、より効果的に続けられそうですね。
宮本日出
幸町歯科口腔外科医院・院長
歯科医師・歯学博士