高齢化、長寿化が進む日本において、65歳以上の高齢者の就業率は25%。65~69歳で52%、70~74歳で34%、75歳以上が11%となっています。年を重ねても働くことが当たり前になってはいますが、その理由を尋ねると、なんとも切羽詰まった高齢者の実態がみえてきました。
人生なんて苦行です…1978年高校卒の男性、サラリーマンを40年以上続けても〈退職金ゼロ円〉65歳から受け取る〈年金額〉に絶望…死ぬまで働くしかない「厳しい現実」 (※写真はイメージです/PIXTA)

65歳男性「将来を見据えて、死ぬまで働くつもり」

65歳を迎えた遠藤さんは老齢年金を受け取り始めました。その額、14.3万円。手取りにすると月12万円ほどだといいます。

 

――40年以上サラリーマンをやってきたけど、その成果というのが月14万円……軽く絶望するよね。まあ、それだけ給料が低かったというわけだけど

 

夫婦の生活費はすべて給与でまかない、年金はすべて貯金にまわしているという遠藤さん。死ぬまで働く覚悟だといいます

 

――もし年金のすべてを貯金していけたら、1年で150万円、5年で750万円かぁ……これだけあったら、自分があの世にいったあと、母ちゃん(=妻)はお金に困らないだろうか

 

厚生労働省の発表によると、日本人の平均寿命(2023年)は男性81.09歳、女性87.14歳と、その差は6歳。さらに夫婦の年齢差を考えると、夫に先立たれる妻というパターンが多いことがわかります。このようなことを見据えて、遠藤さんは備えているというのです。

 

――まだ人生を総括するのは早いかもしれないけど……人生なんて苦行でしかないよな。大逆転を狙って、年に2回、宝くじに夢をみるしかないよ

 

内閣府が行った調査によると、働いている日本の高齢男性の55%が働く理由として「収入を得ること」を挙げています。同じ理由を挙げた高齢男性は、米国では30.9%、ドイツでは37.9%、スウェーデンはでは22.7%。日本の高齢者がいかに切羽詰まっているかがわかります。


 

【日本の高齢男性が働く理由】

・収入がほしいから…55.4%

・仕事そのものが面白いから。自分の活力になるから…14.1%

・仕事を通じて友人や仲間を得ることができるから…4.9%

・働くのは体によいから。老化を防ぐことができるから…21.6%

※出所:内閣府『第9回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査』(2022年)

 

[参考資料]

厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』

内閣府『第9回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査』(2022年)