首都圏模試センターの2024年調査によると、首都圏の小学6年生約28万9,000人のうち、およそ20%にあたる6万人以上が中学受験をしているそうです。少子化傾向でも中学受験に挑む家庭が増えている日本。ただ、大変な努力の末に合格を勝ち取った家庭が、それで幸せになれるのかというと、どうやらそういうわけでもないようで……。2人の子を私立中学に通わせる石川亜希子FPが解説します。

(※写真はイメージです/PIXTA)
こんなはずじゃなかった…世帯年収1,000万円の40代・共働き夫婦、愛する息子の「中学受験」成功に大喜び→入学後に待ち受けていた“まさかの事態”に悲鳴【FPが解説】
ただでさえギリギリなのに…担任からの“心ない提案”に腹が立つ
挙句の果てに、秋の保護者面談で担任から「塾に通う日数を増やしてはいかがですか?」と言われてしまいました。
塾任せにしようとする学校の態度にも腹が立ちましたが、低迷したままの成績ではなにも言い返すことができません。
週に2日通っている個別指導塾を週に3日とすると、費用は月約6万円から月約8万円となります。
Cくんはバスケ部に所属しており、活動はみっちり週に5日あります。部活が終わってクタクタのまま塾に行く日もあり、A夫妻は果たして息子に知識が身についているのか心配になることも少なくありませんでした。
Cくん本人も、思い描いていた中学校生活とかけ離れた日々をもどかしく思っているようで、反抗期も相まってか、口数もめっきり少なくなってしまいました。
中学受験は「合格」がゴールではない
もし高校に内部進学できない事態になれば、改めて高校受験をしなければなりません。
「大学まではエスカレーター式だと思って安心していたのに……。学費に塾代に、こんなにお金がかかるとは想像していなかった。もし内部進学ができなければ、さらにお金がかかるってこと? 実力相応な学校に進学したほうが、Cも俺たちも幸せだったのだろうか」
こんなはずではなかった……Aさんは頭を抱えてしまいました。
月々の貯蓄もままならず、Aさんは不安で夜も眠れない日々が続いています。
ひとまず、時短の派遣社員として働いていた妻のBさんは、就業時間を増やすことに。支出も見直し、節約生活を始めました。
ただ、家計が赤字でなければそれでいいのか、Cくんにとってどうすることが正解なのか……。Aさんはいまだ答えを出せずにいるそうです。
石川 亜希子
AFP