「良い学校」「良い会社」「良い結婚」……。親世代が信じてきた成功の方程式は、もはや通用しない時代。AIやグローバル化が加速するなか、子どもに必要なのは、変化に対応できる柔軟性と、自ら道を切り拓く力強さでしょう。「お受験」に熱中する前に、親が本当に子どもに与えるべきものとは? 精神科医さわ氏の著書『児童精神科医が「子育てが不安なお母さん」に伝えたい 子どもが本当に思っていること』(日本実業出版社)より、詳しくみていきましょう。
これだけ受験にお金を使ったのに…我が子が私立小学校に落ちた母親「ちゃんと勉強させなかったからだ」と泣き崩れる、異様な光景 (※画像はイメージです/PIXTA)

35歳、はじめての親への反抗

その後も母の干渉は続き、とくに姉と私の仕事選びや住む場所、交際相手、結婚相手など、すべてを把握しておきたい母は、さまざまなことに口を出しました。そんな私がはじめて親に反抗したのは、35歳をすぎてからです。

 

親の猛反対を押し切って、勤務していた病院をやめてクリニックを開業したときでした。恥ずかしながら、それが人生ではじめて親に反抗した体験でした。それまでは、なんでも「イエス」と答える「いい子」だったのです。

 

親から決められたことをやっていたら、いつまでも自分の軸で生きられませんし、失敗しても親のせいにできてしまいます。でも、自分で決めたことなら、どうなったとしても自分の責任です。独立するには大きな覚悟が必要でしたが、それ以来、私はようやく自分の人生の山を登っていると感じることができるようになりました。

 

子どもが小さなころは、ある程度は親が舵取りをする必要があるかもしれません。親が食べるものや着るものを用意してあげなければ子どもはなにもできませんし、学校や習いごとなども自分で選ばせるのは難しいかもしれません。成長段階のある時期までは、親が子どもの舵取りをすることで、子どもは安心感を得られます。

 

でも、少しずつ子どもの自立心を育てていくことも忘れてはいけません。大人になる過程では、むしろ自分で自分の人生の舵取りをしていくのだという自立心が生きていくうえでの自信を育みます。自分で考え、自分で選び、自分で挑戦してみる。その積み重ねが、自分自身に対する信頼感を育て、「自分をコントロールできる」という安心感につながっていくのです

 

児童精神科医のつぶやき

勇気を出して子どもを手放していこう

 

 

精神科医さわ