商品によって賞味期限が大きく違ったり、匂いを吸収しやすい特徴を持っていたりと、チョコレートには保存するうえで知っておきたいポイントがいくつかあります。バレンタインデーで多くのチョコレートを保存される方必見。本記事では、日本唯一のチョコレートジャーナリストである市川歩美氏による著書『味わい深くてためになる 教養としてのチョコレート』(三笠書房)から一部抜粋し、チョコレートの適切な保存方法について解説します。

バレンタインにチョコレートをたくさん買った人・もらった人、必見!美味しさを長持ちさせる3つのポイント【チョコレートジャーナリストが解説】
チョコレートが苦手なこと
「チョコレートの苦手なこと3選」を押さえておくと、保存方法を考えるうえで役立ちます。次の3つを覚えておきましょう。
①気温が高いところ
②極端な温度変化
③匂い
①については、もうみなさんご存じかと思います。②については、例えば暑い部屋から急に冷蔵庫に移し、その後再び室温に戻すと、表面に水滴ができたり白くなったりしてしまうこともお伝えしました(ブルーミング)。大きな温度変化は、食感や風味を損なう原因になってしまうのです。
③については、チョコレートは周囲の匂いを吸収しやすい性質があります。冷蔵庫の中のカレーやキムチだけでなく、チョコレートを保存する容器に残った匂いも簡単に移りますので、気をつけましょう。
チョコレートの苦手なことをもう一つあげるとしたら「湿度」です。湿度が高い場所に置くと、チョコレートは湿気を吸収し、味が劣化したりカビが発生したりする恐れがあります。そのため、ワインセラーや野菜室で保存するときは注意してくださいね。どちらも、湿度と温度が高めに設定されていますので、なるべく早く食べることと、密閉して保存することを心がけてください。
私も以前、大きなワインセラーにチョコレートを入れて保存していましたが、湿度が高いために、箱も中身も湿気を帯びて、味を損なわせてしまったことがあります。特にボンボンショコラはカビが発生しやすいので、保存するときは早めに食べることを前提にしましょう。また湿気を防ぐために、匂い移り防止対策でお伝えした、チャック付きのビニール袋に入れて密封することもおすすめします。
チョコレート商品のパンフレットなどに、最適な保存方法が記されていることがあります。これは、作り手が「美味しく楽しんでもらいたい」と願っているからこそのメッセージです。ぜひ参考にしてみてください。