「高級チョコレート」の値段の謎

ある日、高級チョコレート専門店に足を運び、ショーケースを覗くと、まるで宝石のようにキラキラと輝くチョコレートボックスが並んでいました。箱の中には5粒のチョコレート。お値段を見ると、なんと2,000円!「え、1粒400円もするの!?」と驚いてしまいました――。

このような経験、したことはありませんか? 

私はこれに似たお話を、よく男性からお聞きします。以前、メディアでご一緒したタレントさんもそうでした。「1粒で原宿から亀有まで行けるやん」とか「牛丼が食べられるで」と彼はおっしゃっていました(笑)。

日本では「板チョコは1枚100円程度」というイメージが根強いです。30年以上つづいたデフレやチョコレートメーカーさんの努力によって、板チョコの価格が長年あまり変動してこなかったことが、このイメージを作っているのでしょう。

日本は高級チョコレートを、より高価だと感じてしまう国なのかもしれません。

こだわり抜いた「原材料」と「製造コスト」

「高級チョコはなぜこんなに高いの?」とは、メディアの方からよくいただく質問です。高級チョコレートの値段が高い理由を四つあげてみます。

まず一つ目は、こだわった原材料の価格が反映されるためです。

高級チョコレートブランドのショコラティエ(チョコレート職人)は、味のプロフェッショナルです。カカオやチョコレートもそうですが、フルーツやナッツ、スパイスや乳製品など、あらゆる選び抜いた素材が使われます。

例えば、いちごを使うにしても、どんないちごでもいいわけではありません。ショコラティエが認めた特定の生産者や農園の、希少ないちごだけを使用することもあります。お酒も風味を重視してプレミアムなものを選べば、その分、原材料の価格は上がりますね。

原材料費が高くなれば、必然的にチョコレートの値段は上がっていきます。

二つ目は、一般的に「少量生産で手作りのものほど、価格は高くなる」傾向があるからです。チョコレート職人が手作業で作る場合だと、時間と手間がかかっているため価格は上がります。

さらに、小規模なブランドであれば小ロットで生産を行なうため、原材料の調達コストが高くなる傾向があり、結果としてチョコレートの価格は上がります。これはチョコレートに限ったことではありませんが、一般的に大ロットよりも小ロットで生産される商品は、コストがかさむため価格が高くなります。

三つ目は、特に輸入チョコレートの場合です。

遠方からチョコレートをベストな状態で輸入するためには、特別な保存技術や輸送方法が欠かせません。こうした日本への輸送費やチョコレートの保存費用も、チョコレートの価格に影響を与えています。