バレンタインの時期にずらりと並ぶチョコレート。魅力的でとても美味しそうに見えますが、値札を見てみると1粒で数百円……。価格の高さに驚いたという人もいるのではないでしょうか。本記事では、日本唯一のチョコレートジャーナリストである市川歩美氏による著書『味わい深くてためになる 教養としてのチョコレート』(三笠書房)から一部抜粋し、高級チョコレートの値段が高額になる4つの理由について解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
今後さらなる値上がりも?…高級チョコレートが「1粒400円」など牛丼1杯に匹敵するほどの高価格で売られている理由【チョコレートジャーナリストが解説】
心惹かれる「ブランドの世界観」
最後の四つ目ですが、ラグジュアリーな高級チョコレートブランドは独自の世界観を作り、それを維持するためにコストをかけているからです。
高級ブランドが提供するのは、チョコレートの味だけではありません。実際に訪れてみると感じられると思いますが、店の立地、インテリア、パッケージ、接客までを含めた「豊かな体験と時間」という価値を顧客に届けています。
世界的に有名な高級ホテルやラグジュアリーなファッションブランドが、チョコレートを手がけていることも多いです。スタッフの美しい制服やテーブルに飾られたフラワーアレンジメント、カトラリー、紙袋、リボンをはじめ、すべてのディテールに美意識が行き届いているのが、高級チョコレート店なのです。
チョコレートブランドには、味だけでなく、その世界観にもファンがついています。高級チョコレートの価格には、私たちに豊かな時間と体験を提供するためのコストも含まれているわけです。
カカオの不作によるチョコレートの値上がり
ちなみに、チョコレートの価格といえば、2023年秋から「カカオ豆の国際価格の高騰」が問題となっています。
カカオの値段が高騰している主な理由は、世界の主要なカカオ生産国である西アフリカのコートジボワールとガーナでの、カカオの不作です。その影響でカカオ豆の価格が上昇し、それに伴ってチョコレートの価格も世界的に上昇傾向にあります。日本のチョコレート商品も同様です。
さらにカカオだけでなく、乳製品や卵、果物、ナッツの価格も上昇し、輸送コストも上がっています。そのため、おそらく今後数年は高級チョコレートに限らず、身近なチョコレートも徐々に値上がりしていくことになりそうです。
市川 歩美
チョコレートジャーナリスト®