結婚する前と後では収支をはじめ、日々の生活に大きな変化が生じます。なかでも家計の管理については、妻と夫、2人の意見のすり合わせが重要になってくるでしょう。しかし、今回紹介する夫婦はそれがうまくいっていないようで……。FPの山﨑裕佳子氏が、事例をもとに「結婚後の家計管理のポイント」について解説します。
このままじゃ破産しちゃうよ…手取り月収30万円・35歳サラリーマンの悲鳴。原因は「婚活アプリ」で出会った26歳・派遣社員妻の“暴走”【FPが解説】
出会って10ヵ月で婚約したダイキさんとミドリさん
現在35歳のダイキさん(仮名)と26歳のミドリさん(仮名)は、婚活アプリで出会いました。趣味が似ており「子ども好き」という共通点もあったことから、2人はすぐに意気投合。お付き合いを始めて10ヵ月後、ダイキさんはミドリさんにプロポーズしました。
ダイキさんは、28歳のときから1人暮らしをしています。住宅機器メーカーの営業職として働いており、月々の手取り額は30万円です。一方、婚約者のミドリさんは実家暮らし。事務職の派遣社員として働いており、手取り額は月に20万円ほど。
ダイキさんは、読書や動画視聴で休日を過ごすことが多く、ミドリさんもDVD鑑賞とお菓子づくりが趣味。新しいレシピを考案しては、休日に試作を繰り返しています。
このように、休日も「インドア派」な2人。消費意欲があまり高くないことから、ダイキさんはぼんやりと、「この人であれば結婚しても穏やかに暮らしていけるだろう」と考えていました。
ミドリさんが描く“理想の結婚生活”に悲鳴
ある日、ダイキさんの家で結婚後の生活について話し合っていると、ミドリさんは次のように言いました。
「私、結婚したらなるべく早く子どもが欲しいな。それでね、出産したらしばらくのあいだは、育児に専念したい」
聞けば、子どもが小学校を卒業するころまでは専業主婦でいたいとのこと。自分の親が共働きだったこともあり、子どもが生まれて数年したら2人で働くことを漠然とイメージしていたダイキさんは、彼女の考えに驚きました。しかし、彼女の考えを尊重したいと考えたダイキさんは、特に反対することはないと、次のように返しました。
「……そうか! ミドリさんがそうしたいのであれば、全然いいと思う。僕は君が専業主婦になっても構わないよ」
「ほんと!? いままで会ってきた人は共働きが前提の人ばかりだったから、ほんとうにうれしい……やっぱり私たち、結婚する運命なのかもしれないわね」
テンションの上がったミドリさんは、「それとね」と言って、1枚のチラシをテーブルの上に置きました。
「それとね、住むならもう少し広い、こういう駅近のマンションはどう? ショッピングモールもすぐそこだから買い物にも便利だし、ここは公園も併設してるらしいの。子どもができたあとも、すぐに遊ばせることができてすごくいいと思うんだけど……」
ダイキさんの現在の住まいは、駅から徒歩20分(またはバス5分)、築20年の賃貸マンション。家賃は月6.1万円で、広さは2DKです。
ファミリーで住んでいる世帯もあることから、この場所から結婚生活をスタートさせてもいいかな、と考えていたダイキさんでしたが、いったん彼女の考えを受け入れることに。早速、最寄り駅の家賃相場を調べてみると、いまよりひと回り大きい2LDKの賃貸マンションの場合、10万~12万円となっています。
「家賃が倍になるけど大丈夫かな……」
一抹の不安を感じたダイキさんですが、ダイキさんはミドリさんに自分の意見を主張できない「切実な理由」がありました。