後悔しないために、親が存命のうちに話し合いを

葬儀の後、伊藤さんは「普通の葬儀にしておけばよかった」と後悔を深めました。母に最期のお別れをしたいと言ってくれた多くの人々が一同に会して、華やかに見送ることができたらどんなによかったか。母はそんな葬儀を望んでいたのではないか。それに、こうして弔問客や香典返しの個別対応をする必要もなかったのに……。

伊藤さんは、妹と話し合った結果「故人を偲ぶ会」を四十九日の時に執り行うことに決めました。母の希望を叶えることができなかったという後悔がなくなるわけではありませんが、「今できる最善のことをしよう」と決めたのでした。

親の葬儀について話し合うことは決して簡単なことではありません。それが、親の生前であればなおさらかもしれません。しかし、大切な人を見送る場面で、事前に希望や費用をしっかりと準備しておくことは、遺された家族にとって心の負担を軽減する大きな助けになります。

もしも、今までできていなかったのであれば、後悔しないよう親が健在の間に、しっかりと話し合いの場を設けるようにしましょう。

大切な家族の最期を悔いなく見送るために、今できることを少しずつ進めていくことが大切です。

〈参照〉
※1 遺言代用信託 | 個人のための信託 | 信託商品/活用方法 | 信託協会
https://www.shintaku-kyokai.or.jp/products/individual/assetsuccession/testament_substitution.html
※2 後期高齢者医療制度で受けられる給付|後期高齢者医療制度|大阪府後期高齢者医療広域連合
https://www.kouikirengo-osaka.jp/longlife/supply/sousaihi.html

執筆/南真理 
ファイナンシャル・プランナー