夫の名義でローン審査…不動産会社からの電話に、妻は唖然
住宅を購入する際に目安となるのが、年収倍率と返済負担率。年収倍率とは5~7倍が適正といわれてきましたが、不動産価格が高騰するなか、昨今は10倍程度でも問題ないといわれています。また返済負担率は、35%が上限で、20%前後が適正。大祐さんの収入だけで考えると、返済倍率は10倍を少々超える程度。返済倍率は27.9倍で、適正値を上回り、片働きであればかなりのローン負担。共働き、かつパワーカップルであれば問題なし、という判断だったようです。
しかし、あとは金融機関の審査結果を待つのみと余裕に構えていた佐藤さん夫婦ですが、思いもしないことが起きます。住宅ローン審査に落ちたのです。不動産会社の担当者から「まずは奥様にお伝えしたほうがいいかと思いまして……」と、友美さんが最初に報告を受けました。想定外の結果に、大きな衝撃を受けたといいます。
国土交通省『令和5年住宅市場動向調査』によると、融資希望額拒否の主な理由は「年収」で、これが50.0%を占めています。次いで多いのが「他の債務状況や返済履歴」で19.2%。不動産会社の担当いわく、「友美さんも把握していない大祐さんの失態があるのでは?」。確かに勧められるがままにクレジットカードを作り、「年会費がもったいない」とちょっとした喧嘩になったことがありました。普段あまり使用していないカードを意図せず使ったばかりに利用停止になっても気づかず、いつのまにかブラックリスト入り。そんな思いもしないミス、夫ならあり得そう……。
何はともあれ、夢のマイホームが遠ざかり、電話を受けたまま落胆を隠せない友美さん。そこへ不動産会社の担当者から「改めて、奥様名義で住宅ローンを組みませんか?」という提案。思わぬことに「えっ⁉」と聞き返したといいます。「旦那様は審査に通らなかったから奥様名義で家を買おうとしている、というと当然、チェックは厳しくなると思いますが、奥様は収入も安定しているので問題はないかと……」と続けます。
男の威厳なのか、「俺が世帯主なんだから、俺がローンを組む」と息巻いていた大祐さん。ただ夫婦が優先したいのは、長男の小学校入学前にマイホームを購入すること。そう考えると、友美さん名義でローンを組むのが現実的です。
後日談。大祐さんがローン審査に落ちたのは、不動産会社の担当の推測どおり、クレジットカードの返済滞納。友美さんに怒られると思い言い出せずにいましたが、かれこれ3年ほど前のことで、すっかり返済滞納の事実を忘れていたとか。
――夫はちょっと抜けているところがあるので、私の名義でローンを組んで正解だったのかもしれません
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[参考資料]
住宅金融支援機構『住宅ローン利用者調査(2024年4月調査)』