孫は可愛いが…不満が募る日々

ある夜、浩二さんは体調が優れず、いつもより早めに寝室へと向かいました。しかし、そんな浩二さんの耳に響いてきたのは、2階からの「ドタドタ」という孫の走り回る音。何度も目が覚めてしまい、ついに浩二さんは我慢の限界を迎え、階段下から大声を張り上げてしまいます。

「少し静かにしてくれ!」

突然の怒鳴り声に、2階から下りてきた咲さんは、思いもよらない言葉を返してきました。

「いちいち怒鳴らないでよ。子どもなんだから走るのは当たり前でしょ!」

まさかの冷たい物言いにショックを受ける浩二さん。その日を境に、浩二さんは咲さん夫婦に対して心を完全に閉ざすようになります。一緒に集まる機会はめっきり減り、食卓での笑顔も消え、二世帯住宅に気まずい空気が流れるようになったのです。

同居開始から3年後、とうとう両者の不満が爆発

そんななか、迎えた3年目の年越し。富永さんの妻が「年越しくらい、みんなで一緒に過ごしましょう」と提案し、久しぶりに1階に両家族が集まることになりました。

しかし、咲さん家族は約束の時間になっても姿を見せません。30分ほど遅れてようやく下りてきたものの、どこかけだるそうな雰囲気を漂わせていました。

静かな空気のなか、食卓に並べられた年越しそばのお椀を孫が手に取りましたが、うっかり手を滑らせ、ひっくり返してしまいます。

「ちょっと気をつけなさい!」

時間に遅れてきた娘家族へのイラつきもあり、つい強い口調になってしまった浩二さん。これを手始めに、父と娘の激しい口論が始まります。

娘「そんなに神経質にならなくてもいいでしょ! 子どもなんだから仕方ないじゃない!」

父「仕方ないとはなんだ。うるさい足音も注意しないし、お前、ちゃんと教育できているのか!」

娘「なによそれ! 他人の教育にケチつける気? そっちだってなにかにつけて文句ばっかりじゃない! 足音がうるさいだの、電気代が高いだの、いちいち細かいのよ!」

さらに、怒りに任せて、咲さんから極めつけの一言が飛び出します。

「そんなに神経質になるなら、一緒に住まなきゃよかったじゃない!」

この言葉に、浩二さんの怒りは頂点に達します。思わず「うるさい! 黙れ!」と大声で怒鳴る大修羅場に。

あまりの光景に、孫は驚いて号泣。富永さんの妻や咲さんの夫が仲裁に入り、なんとか大喧嘩は収束するも、こうなってしまってはもはや修復は不可能。話し合いの結果、別々に暮らすという結論に至りました。