元夫婦が「子どもの養育費」で揉めるケースが増えています。「再婚」によって経済状況が変わり、養育費を見直す人も。こうしたトラブルを回避するには、どうすればよいのでしょうか。本記事では、再婚後に元配偶者と養育費で揉めた場合の解決策について、行政書士の露木幸彦氏が事例を通して解説します。
身から出た錆ですが…元妻に養育費含めて「毎月7万円」支払い中の「年収600万」46歳会社員、どうしても減額してほしかった事情とは?【行政書士は見た!】
「子どもの養育費」で揉めるケースが急増中!トラブル回避のコツは
そこで、理人さんは「僕にとっては二人とも自分の子どもだからなるべく二人が平等になるようにしたい」と伝えました。その後も2ヵ月間にわたって言葉の応酬が続いたのですが、最終的には元妻が「わかりました。隼人を1人で留守番させて遅くまで働けばいいんでしょ!」と渋々、承諾してくれたのです。
元妻としては子どもを取り巻く環境をなるべく変えたくなかったということで、そのまま今の家に住み続けたいとのことでした。住宅ローンも元妻が払っていくしかありません。
なぜなら、銀行は自宅に抵当権を設定しており、長期間、返済が行われない場合、売却できるからです。元妻と子はすでに7年間、自宅に住んでおり、どうしても手放したくなかったのです。
(元)夫婦の間で「子どもの養育費」で揉めるケースが急増しています。家庭裁判所の「家事事件及び人事訴訟事件の概況及び実情」によると、養育費の調停や審判が行われたのは約2.4万件(2020年)。9年間で4割も増えています(2011年は1.5万件)。
一方、離婚件数は2割も減っているのに(2020年は19万組、2011年は23万組)なぜでしょうか? 今回のように「再婚」は一度決めた養育費を途中で見直すきっかけです。
厚生労働省の人口動態統計によると結婚全体に占める再婚の割合は26%に達しています(初婚38万組。再婚14万組)2000年は20%だったので(初婚63万組、再婚17万組)20年間で増加傾向を示しています。
理人さんの場合は自身に不貞の事実があるので、あまり同情はできませんが、それを差し引いても見通しの甘さが招いた結果と言わざるを得ません。本当は再婚前のタイミングで「本当にやっていけるか」を十二分に検討すべきです。
露木 幸彦
露木行政書士事務所
行政書士・ファイナンシャルプランナー