時代とともに、高齢者施設も「多様化」が進んでいます。費用もサービス内容もさまざまで、「自分たちだけではわからない!」と悩んでいる人も多いはず。そこで、介護ジャーナリストの太田差惠子氏と芸人の安藤なつ氏による共著『知っトク介護 弱った親と自分を守るお金とおトクなサービス超入門 第2版』(KADOKAWA)より、高齢者施設選びのポイントと注意点をみていきましょう。

老人ホーム入居→「こんなはずじゃなかった!」を回避したいなら…〈お金〉よりも〈サービス〉よりも優先すべき“たったひとつ”の条件【安藤なつが介護ジャーナリストに聞く】
施設見学は「最低3ヵ所」行ってほしいワケ
CHECK!
□少なくとも3カ所、できれば5カ所の見学を
□見学だけでなく体験入居でのお試しも
安藤:施設を決めるときは、見学に行かなくちゃいけませんよね?
太田:もちろんです! 実際に見学に行ってみると、パンフレットやサイトを見ただけではわからないことをたくさん発見できます。少なくとも3カ所、できれば5カ所くらいの施設を見学してください。
安藤:3~5カ所を見学する時間を作って実家へ帰るのは難しい、という人も多いんじゃないでしょうか。
太田:そういう人は「施設とはどんなところか」ということを知るために、親を呼び寄せる予定はなくても自分の生活圏にある施設へ見学に行ってみるといいですよ。
設備や介護サービスの様子を実際に見ることで知識量が増えますし、費用についても説明を受けると仕組みを理解できるようになります。いわば「予行演習」ですね。
安藤:それ、いいですね。はじめての見学だと「へえ~」「そうなんだ~」で終わってしまい、質問などできなそうですもん。
太田:できれば親子一緒に見学に行くのがベストですが、親の体調によっては難しい場合もあるでしょう。まずは子どもだけで見学し、絞り込んでから親も一緒に行くというのが現実的かもしれません。
安藤:具体的には、どんなことをチェックすればいいんですか。
太田:パンフレットに書かれている建物の設備、医療連携や費用の仕組みなどの説明を受けるのはもちろん、現場で実際に働いている人から日常の様子を聞いてください。民間施設では営業担当が案内してくれることが一般的です。事前に施設長やケアマネジャーと話したいと、アポイントを取っておくといいですよ。
安藤:確かに雰囲気とか、においは行かないとわかりませんよね。
「ランチタイム」の見学で、食事だけでなく人間関係も把握できる
太田:見学に行く時間帯としておすすめなのはランチタイム。予約をしておけば試食ができる施設も多くありますし、その時間になると入居している人が食堂などの共用スペースに集まってきます。
食事の内容はもちろん、入居者の年齢や男女比、どのくらいの要介護度の人が多いのか、どんな介助を受けているのか、入居者とスタッフはどんな会話を交わしているのか、といったことを一度に見ることができるからです。
食事が合わないとツラいから、ぜひ試食したいですね~。
安藤 なつ
メイプル超合金
ヘルパー2級(介護職員初任者研修)
太田 差惠子
介護・暮らしジャーナリスト