〈登場人物紹介〉

●安藤なつ…介護歴約20年。現場のことはある程度わかるけれど、制度やお金のことについて詳しく知りたい。

●太田差惠子…取材歴30年以上の「介護とお金」に詳しい介護ジャーナリスト。費用を抑えるための介護制度や、プロの手の借り方について解説。

「3つのない」で介護がうまくいかなくなる

CHECK!

□介護のお金は親のお金を使う

□介護に親のお金を使うことに罪悪感を抱く必要はなし

安藤:子どもが親の介護をサポートするためのサービスの利用や、高齢者施設のことなどはわかってきたのですが、実際介護にいくらかかるのか、お金についてもう少し詳しく知りたいです。

太田:そうですね。まず、大前提として「親の介護は親のお金で」と、覚えてください。

安藤:はい。冒頭でもそう理解したので、わかっているのですが、やっぱり援助しないと“親不孝なのでは……”と罪悪感を抱く人が多いと思うのですが……。

太田:もちろん、資金に余裕がある人でしたら援助することに問題はないと思います。

ただ、介護は子育てと違って何年後に終わる、と区切りが決まっていません。1回あたりが少額な負担だとしても、それが何十年も続くとしたらその費用は大きなものになります。

それに、介護サービスは、あくまで支援や介護が必要になった「親」が必要で受けるもの。生活を続けるために必要な生活費の一部と考えれば、親が自分でお金を出すのは当然なことだと思います。

安藤:確かに……。元気なときは、資金援助していなかったのに、介護の費用は子どもが出さないと悪いと感じるのは違和感がありますね。

太田:子どもの役割は、親のお金が正しく使われるように、マネジメントをするということなんですよ。

安藤:親のお金が正しく使われる……。うーーんイメージが。

太田:よく、私がお話ししているのは、「3つのない」ではうまくいかないということです。

出所:『知っトク介護 弱った親と自分を守るお金とおトクなサービス超入門 第2版』(KADOKAWA)より抜粋
[図表1]3つの「ない」ではうまくいかない! 出所:『知っトク介護 弱った親と自分を守るお金とおトクなサービス超入門 第2版』(KADOKAWA)より抜粋

まず1つ目は、どの(誰の)お金で介護をするのか計画をしていない。これは先ほどお伝えした通り、介護は親のお金を使うということを基本ルールとしてください。

2つ目は、どんなお金がかかるのかを知らない介護サービスの費用やそれ以外にどんな費用がかかるのか、施設へ入居することになれば、その負担がどのくらいになるのかを知ることです。こういった情報を整理していくのは、子どものほうが得意なのではないでしょうか。

安藤:確かに! 情報収集したり、整理したりは子どものほうが絶対向いていますよね。

太田:3つ目は、介護費用を軽減するための制度を知らない

安藤:軽減するための制度。それは重要ですね