知人や目上の人から助言を受けた際、信頼している人であればあるほど、疑わずに信用するという人は多いのではないでしょうか。しかし、大切なことをよく調べずに、他人の情報を鵜呑みにすると“痛い目”に遭う可能性も。65歳Aさんの事例をもとに「年金ルール」の注意点をみていきましょう。牧野FP事務所の牧野寿和CFPが解説します。
ワタシの加給年金は…!? 〈年金月26万円・貯金2,000万円〉で“老後不安ゼロ”の4歳差・60代仲良し夫婦、年金事務所で発覚した“まさかの事実”に唖然【CFPの助言】
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定年退職か嘱託社員か…判断の決め手となった「先輩の助言」
Aさん(65歳)は妻のBさん(61歳)と都内の戸建てに住んでいます。機械製造会社の技師として働いていたサラリーマンのAさんは、5年前に60歳で定年退職しています。
Aさんは定年を迎える際、退職するか65歳まで嘱託として勤めるか迷っていました。そこで、5歳年上で嘱託として働いていた仲良しの先輩であるCさんに相談すると、次のようにいいます。
「正社員から嘱託になると、環境がガラッと変わるよ。けっこう窮屈でね、私はAくんのような人がいてまだ救われたけれど、肩身は狭いし年下に見下されて腹が立つこともある。正直、思い切って辞めればよかったと少し後悔してるよ(笑)別に60歳できっぱり会社を辞めても収入はゼロじゃないし、贅沢さえしなきゃなんとかなると思うけどなあ」
そこでAさんは、インターネットや「ねんきん定期便」の情報をもとに、60歳で退職する場合、その後の収入がどうなるのか書き出してみました。
<60歳以降の主な収入>
・企業年金……月8万円(60歳からの10年間)
・特別支給の老齢厚生年金……月6万円(63歳から65歳まで)
・老齢厚生年金……月12万円(65歳以降)
翌日、AさんはCさんにこのことを伝えると「確かAくんの奥さんは年下じゃなかった? もしそうなら奥さんが65歳になるまでは加給年金※がもらえるから、もっと収入が増えるはずだよ」とのこと。
※ 令和6年度の金額。厚生年金は受給資格期間が10年あれば、原則65歳から受給できる。なお、「加給年金」とは、基本的に厚生年金の被保険者期間が20年以上あり、なおかつ65歳到達時点でその人に生計を維持されている配偶者・または子がいるときに適用となる。
それを聞いたAさんは、その日の夜に早速妻のBさんへ報告。
「今日Cさんから聞いたんだけど、お前が65歳になるまでの4年間『加給年金』とやらがもらえるそうなんだ。うちには退職金を含めて貯金が2,000万円くらいあるし、住宅ローンの返済は68歳まで残っているけれど、なんとかなりそうじゃないか?」
これを聞いてBさんも納得した様子。AさんはCさんの助言を踏まえて、60歳で退職することを決断しました。