諦めるのはまだ早い…Aさんが今からできる対策とは?

Aさんにおいても定年を迎える直前で、老後に必要な資金も急いで準備しなければならない状況です。このような状況ではもう手遅れ……そう諦めてしまっては立ち行かなくなるかもしれません。Aさんにもまだできることはあります。

ゲーム障害の治療を始める

まずは息子さんの現状を解決しなければ始まりません。ゲーム障害の治療をしている病院は年々増加傾向にあります。家族だけでなんとかしようとするのではなく、外部の専門家も頼りながらサポートを進めていきましょう。医師による専門外来診療、個人カウンセリング、専門相談など様々な方法でサポートを得ることが可能です。

できるだけ長く働く

人生100年時代と言われている今、健康寿命も同様に延びています。60歳や65歳の定年に縛られず、再雇用などできるだけ長く健康的に働き続けることを選択肢として入れましょう。長く働き続けることが家計を改善させる一番の近道です。

年金の受給を遅らせる

年金は最大で75歳まで繰り下げて受給する事ができます。繰り下げた月数×0.7%(増額率といいます)が年金に上乗せされて受給され、毎月の年金額は最大で84%も増額されます。年金の受給を遅らせることも選択肢として考えましょう。ただし、受給できない期間のやりくりは必須。上記で説明した通り、働いて収入を得ることが必要でしょう。

NISA制度を活用して資産運用を始める

定年間近と言ってもまだAさんは59歳。長い老後のためにNISAなどの税優遇制度を利用し資産運用を始めていくのも良いでしょう。ただし、あくまで資金のやりくりの目途がたってから。「投資は余裕資金で」が鉄則なので、その点は注意しましょう。

教育資金と老後資金は「バランス」を考えて

最後にAさんは、「まずはきちんと息子と向き合って家族の将来について話し合ってみます。そして今後の私自身の働き方についても目を背けず考えていきたいと思います」と話しました。

教育への投資と老後の準備は多くの家庭にとって両立が難しい課題です。親として子どもを支援することは大切ですが、親が過度な負担を強いられることは家計や老後資金を圧迫し、将来的に親子関係にも悪影響を及ぼすリスクがあります。

また、Aさんの家庭のように、想像もしなかったことで老後生活が危うくなるケースもないとはいえません。余裕を持った老後を過ごすためにも、子どもと適切なコミュニケーションを取りながら自立心を育て、親子で協力して老後の安定を目指していきましょう。

<参照>

・ゲーム障害について(独)国立病院機構久里浜医療センターhttps://www.mhlw.go.jp/content/12205250/000759309.pdf

・ネット依存・ゲーム障害の治療の実態と課題(独)国立病院機構久里浜医療センターhttps://www.mhlw.go.jp/content/12205250/000759248.pdf

内田 優帆
ファイナンシャル・プランナー/QOLアドバイザー