マイノリティとして生きる人々にとって、生活の選択肢は狭まるばかりです。外国ルーツであることに加えて、多子家庭でもあるウォルデ舞さん(仮名)の事例をもとに、その実態をみていきましょう。公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン代表理事の今井悠介氏が解説します。
「うちは貧乏だから」とは言わない…夫の手取りは月25万円、世帯年収400万円で〈子ども5人〉を育てる妻の“静かな決意”【インタビュー】 (※写真はイメージです/PIXTA)

子どもに「お金がない」とは言えない…多子家庭の苦悩

―お金の面に関わるところではどうですか。

 

それぞれの誕生日には好きなものを1個買ってあげるというふうにしているんですけど、子どもたちの誕生日がくっついてる時期があって、そこがちょっとつらいですね。

 

貯金という貯金はないので、児童手当が年に何回かまとめて入るのを貯金のように使っています。ただ、一番上の子は高校生になったので、児童手当はもうありません。実際には、高校生になってすごくお金がかかっています。

 

―どんなお金がかかっていますか。

 

お米はいっぱい食べるし、定期代もかかるし、バスケ部の遠征費も結構かかります。高校に入ったらパソコンとか教科書とか制服とかも買わないといけなくて。果物をあまり買っていないので、ビタミンが取れてないかもしれません。お米がどんどんなくなるので、ほかのところで削るしかないですよね。

 

長男は中学時代に、バスケで有名な私立の高校の監督から「ぜひうちに来てくれ」という話もあったんですけど、本人が県立を選びましたね。「私立に行ってもいいよ」と言ってはいたんですけど、内心はドキドキしていました。やっぱりきょうだいのトップバッターにお金を全部使っちゃったら後が続かないので。一番上の次が中学生で年子なんですよ。

 

今の県立高校のチームは弱小なんです。だから、人生の分かれ道だったのかなと思います。「うちは貧乏だから」とか、「お金ない」とか、そういうことは子どもたちにあまり言わないようにはしています。でも、上の子は特によく気が付くから、家のこともわかっていて、県立を選んだんでしょうね。

 

―限られたお金を5人の成長に合わせてどう使っていくか、難しいですね。

 

今は上の子二人を塾に行かせています。本当はその下の子も行かせたほうがいいと思うんですけど、経済的に難しいので我慢の時期ですね。英語でつまずかないように小6から通っていた英会話も途中でやめさせました。本人はそんなに好きじゃなかったみたいで、やめられて喜んでましたけど。

 

上の子3人は部活でバスケをやっています。お兄ちゃんからのというよりは漫画の影響かなと思います。バスケでお金がかかるのは、最初にシューズを買うのと、靴下ぐらいですかね。ユニフォームは学校のやつを着回せるので。ただ、もうすぐ冬になりますけど、そうするとジャージを買うんですよ。そろそろ3番目の子が言ってくるだろうと思います。それが1万円以上にはなっちゃうのかなという感じです。

 

 

今井 悠介
公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン
代表理事

 

※インタビュイーのプライバシーに配慮して名前は仮名とし、一部の情報に加工を施している。