マイノリティとして生きる人々にとって、生活の選択肢は狭まるばかりです。外国ルーツであることに加えて、多子家庭でもあるウォルデ舞さん(仮名)の事例をもとに、その実態をみていきましょう。公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン代表理事の今井悠介氏が解説します。
「うちは貧乏だから」とは言わない…夫の手取りは月25万円、世帯年収400万円で〈子ども5人〉を育てる妻の“静かな決意”【インタビュー】 (※写真はイメージです/PIXTA)

舞さんの頭に「生活保護」の4文字がよぎったタイミング

コロナのときに収入が減ってしまって、役所の生活保護課に行ってみました。そしたら生活保護を申し込めるレベルだと言われたんですけど、もうちょっとがんばろうと思って、そのときはやめました。

 

―生活保護のことを考えたのはコロナのときが初めてでしたか。

 

いえ、ずっと考えてますけどね。うちの夫が死んだら(役所に)行かなきゃと思ってます。

 

―先ほどハローワークでの話がありましたが、5人のお子さんたちがこれまで育ってきた中で、周りから差別を受けるような経験はありましたか。

 

保育園のときに「肌の色がどうしてそんなに黒いの?」と言われるようなことは、どの子も1回はありましたね。

 

ただ、このあたりは外国人が比較的多い地域で、学校にも色々な国の子がいるんです。うちの子たちは肌の色では目立ちやすいですけど、その中で子どもたちも慣れてるというか。

 

あとは、夫が日本語がそんなにできなくて、漢字とかもそんなに書けないので、子どもたちの書類関係は私が全部やらなきゃいけないですね。

 

―きょうだい同士の仲はどうですか。

 

テレビで見るような仲良しの大家族という感じではないです。子どもたち同士の組み合わせによって仲が良かったり悪かったり。面倒を見るというほどではなくても、私が買い物に行くときに上の子が下の子をちょっと見てくれてるとか、そんな感じです。

多子家庭だからこその困難

―5人の子どもを育てる大変さというのは、ちょっと想像がつかないです。

 

みんな0歳から保育園に入れたので、ほとんど保育園が育ててくれたような感じですよ。一番上の子が小さいときにはその子に時間をかけられたんですけど、一番下の子は同じようには見てあげられていないですね。逆にそれがいいのか、伸び伸び過ごしてますけど。

 

海とか山とかも、子どもの事故のニュースとかもあるので、そんな危険を冒してまでは連れていけないですね。2人の親で子ども5人とか見れないじゃないですか。

 

―お子さんが多い場合にはそういった難しさも出てくるんですね。

 

女の子二人が週末にダンスを習っていた時期があったんですけど、日本の風習というか、悪習というか、親も一緒にずっといないといけなくて。

 

でもそうすると、その時間はほかの子たちがほったらかしになっちゃうじゃないですか。陰で犠牲になってるほかのきょうだいもいるわけなので。

 

男の子たちがスポーツ少年団に入っていたときも親の負担が大きくて。下の子たちがまだちっちゃかったのに炎天下で連れていかないといけないのも大変でしたね。