本記事は、COZUCHIに寄せられたご質問・ご意見に、COZUCHIの中の人(運営会社:LAETOLI株式会社の社員)がぶっちゃけトークも交えながら真正面からお答えしていくコンテンツです。

 

不動産特定共同事業法(不特法)とは

今回のご質問です。

 

「不特法って?1号事業者ってなに?」

 

ストレートなご質問、ありがとうございます。不動産投資クラウドファンディングでよく出てくる言葉ですね。ネットの情報だと専門用語が多くてなかなかイメージが湧かないことも。しかし、不特法の法律のボリューム自体は多くはないため、全体像を理解することは難しいものではありません。

 

この記事では、誰でも全体像が理解できることを目標に、取引例を交えながら、解説していきたいと思います!がんばります!今回は不動産投資クラウドファンディングのメインプレイヤーである「第一号事業」について解説します(他には、「特例事業」というものがあるのですが、「そうなんだ」くらいの認識で大丈夫です)。

 

不動産投資クラウドファンディングは、不動産特定共同事業法(略して、「不特法」「FTK法」とか言ったりします)に基づいて運営されています。

 

不動産特定共同事業法とは、簡単に言うと、

 

投資家の利益を保護するために、事業者に課せられるルールを定めている法律になります。

 

この目的を理解するために、簡単な取引を考えてみます。

 

取引例

【P社】

マンションを購入し、賃貸するビジネスがしたい。しかし、マンションを購入する十分な資金が自己資金や銀行借入では賄えそうにない。

 

【Aさん、Bさん、Cさん】

少額で不動産投資にチャレンジしてみたい。

 

 

そこでP社は、Aさん、Bさん、Cさんの3名から出資を募り、その資金でマンションを購入し、賃貸経営によって生じる利益の一部を配当として3名に還元することを考えました。

 

しかし、Aさん、Bさん、Cさんとしては、P社が信用のおける会社なのか分かりません。出資した資金が本当にマンションの購入に使われるのか、また、マンションの賃貸経営の状況等を知ることができないのであれば、安心してP社に出資することができません。

 

 

そこで、不動産特定共同事業法は、Aさん、Bさん、Cさんが安心して不動産に出資できるように、P社に

 

・十分な人材や組織が整備されていること

・十分な財産が確保されていること

・不動産取引の成果等の情報を継続的に投資家に対して開示すること

 

などを求めるのです。

 

 

このようなルールがあるおかげで、投資家は安心して不動産取引に出資(参加)ができ、その結果、会社は資金調達が可能となり、不動産の売買や賃貸ができるようになるわけです。

 

では次に、「誰が」がこの不特法のルールを守らなければいけないのか見ていきましょう。

 

 

不動産特定共同事業者とは

不特法では、許可を得て「不動産特定共同事業(不特事業)」を行う者を「不動産特定共同事業者」と定義しています。

 

この不特事業者が、ルールである不特法を守らなければいけません。

 

不動産特定共同事業を運営するためには、国土交通大臣または都道府県知事の許可が必要となります。健全な事業運営ができると認められた事業主のみが不動産特定共同事業を運営できるのです。

 

不動産特定共同事業とは

大きく2つに分類できます。

 

国土交通大臣または都道府県知事の許可を得て、

 

①不動産特定共同事業契約を締結して不動産取引から得られる利益等の分配を行う事業

②不動産特定共同事業契約の締結の代理または媒介をする事業

 

不動産投資クラウドファンディング、他には一部の不動産小口化商品が該当します。投資家の利益を守るために事業者に課せられるルールが不特法で、このルールを守り許可を得て不動産投資クラウドファンディングを行っている業者が不特事業者であることがわかりました。そして、不特事業者は行っている事業の内容によって、必要な許可・呼び方が異なります。

 

1号事業者・2号事業者とは

【第1号事業者】

投資家との間で不動産特定共同事業契約を締結して、当該契約に基づき営まれる不動産取引から生じる収益又は利益の分配を行う事業者。つまり、ファンドを募集し、実際に不動産事業(ファンド)を運営し、利益を分配する事業者。

 

【第2号事業者】

不動産特定共同事業契約の締結の代理又は媒介を行う事業者。つまり、第1号事業者を代理してファンドの募集のみを行う事業者(実際の不動産の運営・配当は1号事業者が行う)。

 

取引例をいくつか見てみましょう。

 

取引例①

・P社は、ファンドを募集し、投資家からの出資をもとに土地を購入し、商業ビルを建設します。

・その後、飲食店舗等へ賃貸して、そのテナントからの賃貸収入をもって投資家へ配当します。

 

 

P社は、1号事業者として、ファンドを募集し、そして不動産運営を行い、配当を実施します。

 

1号事業者は言ってしまえば、不動産特定共同事業法における「なんでも屋さん」です。投資家の募集、契約の締結、不動産の運営、そして配当の分配。基本的には、自分一人で不特事業を完結できます。

 

他の例も見てみましょう。

 

取引例②

・P社は、投資家からの出資をもとにマンションを購入し、賃貸ビジネスを行います。

・そして、その賃貸収入をもって投資家へ配当します。

・しかし、P社には投資家を募集するノウハウがなく、マンション購入資金を集めることができません。

・そこで、Q社が代わりに、ファンドを募集します。

 

 

この例のように、1号事業者であるP社の代わりに、ファンドの募集を行うQ社を2号事業者と呼びます。

 

2号事業者は、いわば「仲介屋さん」です。できることがかなり限定されています。1号事業者の代わりにファンドの募集(投資家の募集・契約の締結の媒介)しかできないんですね。

 

※逆に1号事業者は、2号事業者のように、誰かの代わりにファンドの募集はできません。

 

取引例

では、COZUCHIに当てはめてみましょう。

 

COZUCHIを運営するLAETOLIは、1号事業者・2号事業者、両方の免許をもっていますが、ほとんどのファンドで2号事業者としてファンドの募集をしています。

 

 

ファンドページでよく「TRIAD社」と目にすると思いますが、このTRIAD社は1号事業者であり、実際に不動産の運営を行い、投資家様に配当をしています。

 

COZUCHIを運営するLAETOLIは2号事業者として、TRIAD社から依頼され、ファンドの募集のみを行っています(もちろん、LAETOLIが1号事業者の場合もあり、その場合はLAETOLIがCOZUCHIで自社のファンドを募集します)。

 

“COZUCHIが”不動産を運営して配当を分配していると、思っていた投資家様もいらっしゃったかもしれませんが、それは違うんですね(COZUCHIはあくまでプラットフォームです)。

 

なお、LAETOLIは、「募集してほしい」と依頼された案件をなんでもかんでもCOZUCHIで取り扱うわけではありません。COZUCHIの投資家様の元本を毀損することなく、配当を実施できるか、収益性等を吟味しています。合格したファンドのみ代わりに募集を行うのです。

 

 

補足

ちなみに、不動産特定共同事業には、その他に「特例事業」という枠組みがあり、特例事業のもとで、

 

①不動産取引(売買や賃貸等)を行う者

⇒第3号事業者

②不動産特定共同事業契約の締結の代理または媒介をする者

⇒第4号事業者

 

と呼びます。本記事では、混乱を招くので、特例事業の説明は割愛します。

最後に

ここまでお付き合いいただきありがとうございます。なんとなく不特法の全体像、1号事業者・2号事業者の役割がイメージできましたでしょうか。

 

ここを理解すれば、不動産投資クラウドファンディングの重要な部分は理解していると言えると思います。

 

今後も皆様のご意見・ご質問にフラットにお答えしていきたいと考えています。少しでも皆様のお役に立てますように。

 

 

※本記事は「COZUCHI magazine」で、2023年12月25日に公開された記事の転載です。