利回りとは?
利回りとは、投資した金額に対して得られた収益の割合をパーセンテージで表したものです。収益には、受け取った配当や利息のほか、資産の売却損益も含みます。
一般的に利回りは、1年間の収益割合を表す年利回りの意味で用いられます。投資において利回りがどのような意味を持つのか、また利回りと混同しやすい利率との違いを見ていきましょう。
利回りは投資指標の一つ
利回りは、投資先や運用成績を判断する際に用いられる指標です。利回りを求めることで、投資先の収益性が明らかになります。
利回りが高いほど資産を増やせる投資先といえます。しかし、投資では一般的に利回りが高いほど、リスクも高くなる点に注意しましょう。
高い利回りを期待できる投資先は、利益ではなく損失を招く可能性も高くなります。利回りとリスクのバランスを考えたうえで、投資先として適しているかを判断してください。
利回りと利率との違い
金融商品には、利回りのほかに「利率」という用語も使用されています。利回りについて理解するには、利率との違いを知っておくことも大切です。
利率は、一定期間の元金に対する利息の収益率を表した数値です。債券のクーポンや預金の利息のように、あらかじめ投資元本に対する利益が確定しているものに対して用います。
例えば、100万円を預金し1年で2,000円の利息を受け取れる場合の利率(年率)は0.2%です。
一方、利回りは利息を含めて得られた収益をもとに計算するため、投資時点では確定していません。利率0.2%の預金であっても、利息を元金に組み入れる複利で運用した場合、利回りは利率よりも高くなります。
投資の総合的な収益性を判断するには、利回りが有効です。投資時点で利回りが提示されることもありますが、あくまでも想定であり、必ずしも利回りを確保できるとは限らない点に注意してください。
利回りの計算方法
利回りは、以下の式で計算します。
例えば、100万円を投資して2年後に5万円の利益が得られた場合の利回りは、以下のとおりです。
5万円÷100万円÷2年×100=2.5%
なお、投資には手数料などの費用がかかり、税金も課されます。実際に利回りを計算する際には、手数料や税金を投資の利益から差し引いてください。
投資商品別のおもな利回りと相場
利回りは、投資商品によってそれぞれ異なる考え方や計算方法があります。投資商品で用いられる利回りの種類と計算方法、相場を紹介します。
株式の利回り
株式は価格変動が大きいため、利回りは投資手法によって大きく変動します。そのため、投資判断には投資金額に対する配当金の割合を示す「配当利回り」が用いられることが多いです。
配当利回りは、以下の式で計算します。
例えば、現在1株5,000円の株式で年間100円の配当がもらえる株式の配当利回りは以下のとおりです。
100円÷5,000円×100=2%
配当利回りは、東証プライム市場・スタンダード市場ともに2023年9月現在、平均2%台で推移しています。
売買損益を含む利回りを計算する際には、以下の式を用います。
株価5,000円の株式を100株、配当金5,000円を得て2年後に55万円で売却した場合の利回りは以下のとおりです。手数料は500円とします。
(5万円+5,000円-500円)÷50万円÷2×100=5.45(%)
債券の利回り
債券の利回りは、投資金額に対する収益の割合を計算したものです。利率に加えて額面と購入価格の差を用いて計算します。購入と売却・償還のタイミングにより応募者利回り・最終利回り・所有期間利回りと呼ばれますが、基本的な考え方は同じで、以下の式で計算します。
額面100円、利率2%の債券を98円で購入し、4年後に償還を迎えた場合の利回りは以下のとおりです。
{(100円-98円)÷4年+2%}÷98円×100=約2.55%
このほかに、「利率÷購入金額×100」で計算する直接利回りもありますが、投資額に対する利息割合にのみ着目したもので、最終利回りとは異なるため混同しないようにしましょう。
なお、残存期間1年超の割引債は、複利計算となるため以下の式を用います。
額面100円、購入価格95円、残存年数2年の割引債の利回りは以下のとおりです。
{2√(100÷95)-1}×100=約2.6%
債券の利回りは、発行体の信用度(格付け)や金利情勢、償還までの期間によって変動します。
投資信託の利回り
投資信託の利回りは、売買損益と分配金を含めて計算します。
50万円分の投資信託を2年運用し、1万円の分配金を受け取って55万円で売却した場合の利回りは以下のとおりです。
(5万円+1万円)÷50万円÷2年×100=6%
投資信託の利回りの目安は、3~10%程度といわれています。この幅は、投資信託がどの資産に投資しているかによるものです。低リスクとされる債券型やバランス型の投資信託は利回りが低く、株式型では高くなる傾向が見られます。
なお、投資信託は、分配金の再投資を行なった場合元本が増加するため、投資成果を見るには、利回りよりもトータルリターンが用いられることが多いです。トータルリターンは投資期間全体の損益金額を表したもので、以下の式で計算します。
トータルリターンを割合で見たい場合には、リターン金額を投資元本で割り出すとよいでしょう。
不動産投資の利回り
不動産投資でいう利回りとは、物件価格に対する年間の家賃収入の割合のことです。不動産投資で用いられる利回りは、家賃収入を物件価額で割った表面利回りと、コストを含んだ実質利回り(NOI利回り:エヌオーアイ利回り)の2つがあります。
それぞれの計算式は以下のとおりです。
表面利回り:年間家賃収入÷物件価格×100
実質利回り:(年間家賃収入-年間支出)÷物件価格×100
3,000万円のマンション一室を家賃8万円で貸し出す場合を例に、それぞれの利回りを見てみましょう。年間の経費は20万円と仮定します。
表面利回り:96万円÷3,000万円×100=3.2%
実質利回り:(96万円-20万円)÷3,000万円×100=約2.5%
投資物件には利回りが記載されていますが、この利回りは一般的に表面利回りです。必要経費が含まれていない分実際よりも高い利回りになるため、投資判断には実質利回りを考えることが必要です。
不動産投資の表面利回りの相場は、新築区分マンションで3~4%、新築一棟アパートでは6%前後です。なお、不動産は築古や地方になるほど物件価格が安くなることで利回りが上がるため、「利回りが高い=収益性が高い」というわけではありません。
投資先を利回りの高さだけで判断してはいけない
先述したとおり、利回りの高い投資先はリスクも高くなる傾向があります。そのため、投資先を利回りの高さだけで判断するのは危険です。利回りだけでなくリスク・リターンを総合的に考えたうえで投資しましょう。
高利回りの投資先が必ずしも良いとは限りません。例えば株式市場では、高配当な銘柄であっても、ひとたび減配が発表されると価格が大きく下落するリスクがあります。また不動産投資では、空室率の高さなどが潜在的なリスクとして常に存在します。
投資判断をする際には、利回りの魅力にとらわれず、長期的な視点で成長性や潜在リスクを考慮に入れることが不可欠です。しかし、これらの要素を適切に評価するには専門的な知識が必要です。多くの投資家にとっては、このような専門知識を習得するのは簡単ではありません。
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まとめ
利回りは投資額に対する1年間の収益の割合で、運用成績を表します。資産を増やすには利回りを意識することが重要ですが、利回りが高すぎる投資先は、リスクも高くなる傾向があるため注意が必要です。
投資先を選択する際には、投資商品別の利回りの相場を参考にしながら、利回りとリスクのバランスを考えましょう。リスク軽減には、分散投資も効果的です。不動産投資クラウドファンディングなども活用して、安定した運用を目指してください。
【監修者】
氏名:齋藤 彩(さいとう あや)
所有資格:CFP(Certified Financial Planner)、薬剤師免許
おもなキャリア:急性期総合病院において薬剤師として勤める中、がん患者さんから「治療費が高くてこれ以上治療を継続できない」と相談を受けたことを機にお金の勉強を開始。ひとりの人を健康とお金の両面からサポートすることを目標にファイナンシャルプランナーとなることを決意。現在は個人の相談業務・執筆活動を行っている。