老老介護や介護離職といった事態を避けるためにも、老人ホームは有効な選択肢のひとつでしょう。一方で、老人ホームへの入居をめぐり、本人だけでなく家族が頭を悩ませるケースもあって……。本記事ではAさんの事例とともに、家族介護のあり方と老人ホームの選び方について、CFPの伊藤貴徳氏が解説します。
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家族の介護のあり方、老人ホームの選び方
老人ホームの利用を決断する家族が増えるなかで、施設選びの際に「安易な選択」をしてしまうケースも少なくありません。その原因は金銭的な問題だったり、環境的な問題だったりとさまざまです。
しかし、施設選びは慎重に検討しなければ、後に家族や本人が困難な状況に直面することもあります。ここでは、家族の介護におけるポイントを解説します。
本人の気持ちを理解する
高齢者の介護において、老人ホームへの入所を検討する際、本人の意思と家族の意向をどのように調整するかは重要です。多くの高齢者は、住み慣れた自宅での生活を望んでいます。このような気持ちを尊重し、なぜ入所を拒否するのか、その背景や不安を丁寧に聞き取ることが大切です。
家族の状況を共有する
一方で、家族も介護の負担や生活状況に限界を感じている場合があります。在宅介護を無理に続けると、介護者が「介護うつ」を発症したり、生活費の負担が増加したりするリスクがあります。家族の現状や感じている負担を正直に伝え、ともに最適な解決策を見つける姿勢が求められます。
第三者の意見を活用する
話し合いが進まない場合、ケアマネージャーや地域包括支援センター、主治医などの第三者に相談することも有効です。専門家の意見やアドバイスを取り入れることで、客観的な視点から最適な介護方法を見つける手助けとなります。
老人ホームへの入所は、本人と家族双方の意向を尊重し、十分な話し合いを重ねることが重要です。無理に入所を勧めるのではなく、双方が納得できる形での介護方法を見つけることで、よりよい生活環境を築いていただけたらと思います。
参考
令和6年版厚生労働白書
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/23/backdata/01-01-01-14.html
令和4年就業構造基本調査
伊藤貴徳
伊藤FPオフィス
代表