家族の介護のあり方、老人ホームの選び方

 老人ホームの利用を決断する家族が増えるなかで、施設選びの際に「安易な選択」をしてしまうケースも少なくありません。その原因は金銭的な問題だったり、環境的な問題だったりとさまざまです。

しかし、施設選びは慎重に検討しなければ、後に家族や本人が困難な状況に直面することもあります。ここでは、家族の介護におけるポイントを解説します。

本人の気持ちを理解する

高齢者の介護において、老人ホームへの入所を検討する際、本人の意思と家族の意向をどのように調整するかは重要です。多くの高齢者は、住み慣れた自宅での生活を望んでいます。このような気持ちを尊重し、なぜ入所を拒否するのか、その背景や不安を丁寧に聞き取ることが大切です。

家族の状況を共有する

一方で、家族も介護の負担や生活状況に限界を感じている場合があります。在宅介護を無理に続けると、介護者が「介護うつ」を発症したり、生活費の負担が増加したりするリスクがあります。家族の現状や感じている負担を正直に伝え、ともに最適な解決策を見つける姿勢が求められます。

第三者の意見を活用する

話し合いが進まない場合、ケアマネージャーや地域包括支援センター、主治医などの第三者に相談することも有効です。専門家の意見やアドバイスを取り入れることで、客観的な視点から最適な介護方法を見つける手助けとなります。

老人ホームへの入所は、本人と家族双方の意向を尊重し、十分な話し合いを重ねることが重要です。無理に入所を勧めるのではなく、双方が納得できる形での介護方法を見つけることで、よりよい生活環境を築いていただけたらと思います。

伊藤貴徳
伊藤FPオフィス
代表