ウェアラブル、デジタルツイン、さらには筋斗雲!? 2070年の介護ロボット
では、このような現状を踏まえ、約50年後の2070年までにはどのように介護ロボット、テクノロジーが出現するのでしょうか。
自ら学習・行動し人と共生するロボット
予想のひとつの指針となるのが、平田教授がプロジェクトマネージャーを務める国立研究開発法人科学技術振興機構推進の、ムーンショット型プロジェクト※「活力ある社会を創る適応自在AIロボット群」です。
※ムーンショット型研究開発制度とは、我が国発の破壊的イノベーションの創出を目指し、従来技術の延長にない、より大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発(ムーンショット)を推進する国の大型研究プログラムのこと。
ここでは、設定された目標のひとつである「2050年までに、AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し人と共生するロボットを実現」に対して、平田教授は「人を過剰に支援しない」ことを重視し、利用者の行動を認識するセンサーなどを活用して利用者の「できるかも」「やってみよう」という“自己効力感”を高める技術の具現化を目指しています。
こうした技術の先に考えられるのは、まずはセンサーを活用して身体の状態を常に管理、計測できるテクノロジーです。たとえば、体にセンサー付きの洋服やアクセサリーなどを装着すると、その時の利用者の健康状態を把握できるというもの。まるで人間ドックのように診断してくれるわけです。
生成AIと組み合わせるロボット
こうした技術の先に考えられるのは、まずはセンサーを活用して身体の状態を常に管理、計測できるテクノロジーです。たとえば、体にセンサー付きの洋服やアクセサリーなどを装着すると、そのときの利用者の健康状態を把握できるというもの。まるで人間ドックのように診断してくれるわけです。
また、ChatGPTに代表される生成AIが大量のデータをもとに、要介護者一人ひとりに対してどのようなロボットを使うのが適切なのかを介護者に教えてくれるテクノロジーも考えられそうです。つまり、障害の有無や年齢などから、「こんなシチュエーションの人は、こんなことができていました」という同じようなシチュエーションの要介護者の情報を抽出し、どのようなロボットを使えばその要介護者にできる行動が増えるのかを教えてくれる、というわけです。
平田教授によると、さらにそこから一歩進んで「このロボットを使うと、こんなことができるようになります」という推薦システムや、「このトレーニングを繰り返していれば、5年後はこうなります」という予測システムも可能性のひとつだといいます。介護施設に入る前よりもむしろできることが増える……という利用者にとって理想的な姿が実現することも期待できそうです。
デジタルツインを活用したロボット
このほか、平田教授は今話題の「デジタルツイン」を活用した技術もひとつの可能性として挙げています。デジタルツインとは、インターネットに接続した機器などを活用して現実空間の情報を取得し、サイバー空間内に現実空間の環境を再現する技術。
これを活用して、リアルな環境とまったく同じ環境をデジタル上に構築し、そこで介護ロボットの動作を試してみる……などがアイデアの一例で、仮想環境で検討した結果を現実にフィードバックすることで、介護ロボットの最適な活用方法がわかるというわけです。