老後の生活を支える公的年金。多くの人が金融機関または、ゆうちょ銀行での振り込みによる受け取りを利用していますが、きちんと記帳して確認をしているでしょうか。もしかしたら「年金が減らされている」なんてことも……。本記事ではAさんの事例とともに、年金額の変動理由について、CFPの伊藤貴徳氏が解説します。
あれ、年金がいつもより少ない…「年金月約7万円」の70代母、郵便局の通帳記帳で見つけた「年金減額の事実」。年金事務所へ駆け込むと【CFPが解説】
「物価と賃金の上昇率」と「年金の上昇率」は同じ?
物価が上がり続けると、年金額も上がり続けるかのいうと、実はそうではありません。 年金には、「マクロ経済スライド」という仕組みがあり、物価や賃金が大きく上昇した場合、年金の上昇幅を抑制する働きがあります。 このため、物価や賃金の上昇率と同じ割合で年金額も上昇していくわけではないという点に注意が必要です。
たとえば、令和6年度の年金額は2.7%上昇しました。その一方で、物価は昨年と比べると3.2%上昇、賃金は3.1%の上昇でした。 物価と賃金の上昇幅と、年金の上昇幅に違いがあることがわかります。
物価・賃金と年金が同じ伸びではないワケ
年金制度は、世代間扶養の考えに則り運用されています。現在年金を受給している方の年金額は、現役世代からの年金保険料によって賄われています。 現在、年金を受給されている世代はもちろんのこと、将来年金を受け取る現役世代も年金を受け取ることができるよう、マクロ経済スライドのような仕組みをとり、年金保険料・物価・年金額のバランスを図っています。これにより、年金制度を将来にわたって持続的に運用させることを目指しているのです。
年金額の変化をチェックしよう
毎年の年金額は、1月ごろに厚生労働省から改定の発表があり、4月から改定となります。4月以降は日本年金機構のHPからも確認することができます。
生活の基盤として大切な役割を果たす年金。毎年の年金額をあらかじめ把握することで、その年の生活の目安に役立てましょう。
参考
厚生労働省 令和6年度の年金額改定について
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000191631_00018.html18.html
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2024/202404/0401.html
伊藤貴徳
伊藤FPオフィス
代表