テレビCMやネットの広告で「ファインバブル」という言葉を聞いたことがある人も少なくないはず。私たちが日常目にする泡よりもずっと小さく、直径が100μm(=0.1mm)より小さな泡を指します。ファインバブルには洗浄効果のほか、水質浄化殺菌、生理活性成長促進効果などさまざまな効果がありますが、今回は私たちに身近な家電などへの応用を通して、ファインバブル技術がどのように私たちの生活に役立っているのかを解説します。
シャワーヘッドからサービスエリアのトイレ清掃まで…“ファインバブル”技術を活用したテクノロジー MTG提供

2種のファインバブルを活用した洗浄の仕組みとは

洗浄の仕組み
洗浄の仕組み

 

具体的には、2つのバブルを含んだ洗剤液を衣類全体に浸透させ、洗剤の洗浄成分を吸着したウルトラファインバブルが繊維の奥まで洗浄成分を届けて汚れを剥がし、マイクロバブルが繊維から離れた汚れを吸着する……という仕組み。また、洗濯中、ウルトラファインバブルとマイクロバブルが洗濯槽への汚れの付着を抑制する効果もあるといい、従来なら1~2カ月に1回は必要だった槽洗浄が、3〜4カ月に1回で済むというメリットも。

 

ウルトラファインバブル&マイクロバブル発生装置
ウルトラファインバブル&マイクロバブル発生装置

 

同社ではファインバブルの活用によって、水道水で洗濯した場合と比較した場合、より効果的に衣類の黄ばみや黒ずみを防げるとしており、今後もウルトラファインバブルの技術を活用したラインアップを拡充していく方針です。

ピンク汚れの原因菌が66%減少。家中にファインバブルのお湯を運ぶ給湯器

身の回りで活かされているファインバブル技術は、これだけではありません。浴室や洗面所、キッチン、食洗機などへお湯を送り出す給湯器でもファインバブルは活用されています。

 

家中ウルトラファインバブルのイメージ(リンナイ提供、以下同)
家中ウルトラファインバブルのイメージ(リンナイ提供、以下同)

 

熱エネルギー機器の開発・製造・販売を手掛けるリンナイでは、ウルトラファインバブルのお湯が家中で使える「ウルトラファインバブル給湯器」を2022年から販売しています。

 

もともと同社では、約20年前から浴槽にマイクロバブルを発生させる装置を販売していましたが、白濁湯にはならず、「本格的なマイクロバブルを作りたい」という社長の思いで再度、マイクロバブル発生装置の開発に挑戦。

 

その結果、2020年にマイクロバブルとウルトラファインバブルの両方を発生させる「マイクロバブルバスユニット」が誕生。そうした経緯を経て、2022年10月に皮膚や水まわりの汚れを除去できるというウルトラファインバブルに特化したウルトラファインバブル給湯器が誕生しました。

 

ウルトラファインバブル給湯器のラインアップは、ウルトラファインバブル発生装置を搭載したガス給湯暖房用熱源機、ガスふろ給湯器、ガス給湯器など。お湯の水圧を変化させて水中の空気を気泡化し、さらに気泡をせん断して細かくすることでウルトラファインバブルを発生させており、給湯器から浴室や洗面所、キッチンへウルトラファインバブル入りのお湯が送られる仕組みです。

 

ウルトラファインバブル発生装置のしくみ
ウルトラファインバブル発生装置のしくみ

 

ウルトラファインバブルには細かい隙間にある汚れを落とす作用があり、さら湯と比べて汚れの原因菌が洗い流されやすくなるため、浴室や洗面所、キッチンで汚れや水垢が付きにくくなるのが特徴です。水回りの代表的な汚れの「ピンク汚れ」に対しては、原因菌を66%減少させるという効果も明らかになったとか。

 

また、ウルトラファインバブルのお湯は肌の角層水分量を持続させるため、たとえばシャワーによって肌へうるおいを与える、などのメリットもあるそうです。

 

同社では「給湯器取り替えの際に、ウルトラファインバブル給湯器お選びいただくことが増えている」と現状を語っており、今後については「ウルトラファインバブルの効果の検証を進め、そのメリットを訴求できれば」としています。