音楽を聴いているとき、なんとなく日本語の歌よりも洋楽のほうがかっこいいと思ったことはありませんか? この日本語と英語の聞こえ方の背景には、「農耕民族」と「狩猟民族」の違いが隠れているかもしれないと、シュールなあるあるネタで知られる芸人のふかわりょう氏は考察します。ふかわ氏と気鋭の言語学者・川添愛氏が、著書『日本語界隈』(ポプラ社)より対談形式で「日本語の妙味」について語ります。
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“日本語大好き”ふかわりょうが、英語に嫉妬する理由
ふかわ:日本語は大好きですし、誇らしいですけど、私、常日頃から英語には強い嫉妬を抱いているところがあるんです。
川添:嫉妬ですか?(笑)
ふかわ:あのリズム感には敵わないなと思うんですよ。歌でも、言葉自体の抑揚というかレンジも広く、グルーヴがあるでしょう。日本語の俳句や短歌も私は大好きなんですけど、抑揚というよりは平坦というか。
川添:英語にグルーヴ感があるというのは、音節で言葉を区切るからかもしれないですね。たとえば「information」という単語は、in(イン)・for(フォ)・ma(メー)・tion(ション)と4つの音節に区切って発音しますよね。それだけで「うねり」が出てくる感じがします。
一方、日本語では原則として、カナ文字の1字分に相当する「モーラ」という単位で区切ります。つまり、「イ・ン・フォ・メ・ー・ショ・ン」みたいに細かく区切られるので、英語にくらべて平坦な感じがするのかもしれません。
ふかわ:英語はあれだけ抑揚があってリズミカルで、状況を華やかに表現できるのに、彼らはジェスチャーも足してくるじゃないですか。よっぽど中に詰まっているんだなと思って。
川添:表現したいことが。
欧米人がジェスチャーを多用するのは、「言葉に頼っていない」から?
ふかわ:欧米人のジェスチャーって、どういう必要性があって多用されているんだと思いますか?
川添:文化的な違いもあると思いますけど、ジェスチャーを多用するってことは、それだけ、「言葉だけに頼っていない」ということかもしれないですね。
ふかわ:ハグとかの文化があるわけですしね。ああいう慣習が日本人に根付かないのも何か要因がありそうですけど。数年、海外で暮らして帰国すると、身振りやノリが日本人じゃなくなっている人もいますよね。
川添:そうですね。言葉そのものよりも、ジェスチャーとか、佇まいとかに外国の空気を感じますよね。