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「〜しておきましょうか」はどっち?

川添:ふかわさんの本に出てきた、「『~しておきましょうか』には無償化のニュアンスが含まれているのではないか」という指摘も「鋭い!」と思いました。

ふかわ:そうなんですよ! ガソリンスタンドで店員さんに「添加剤入れておきましょうか」と言われて。てっきりサービスかと思ったら、がっつり有料だったことがあって。これはズルくないですか?

川添:ズルいですねー。「しておく」というのが、いかにも「ついで感」があるじゃないですか。メインがあって、それにサブのように足すという。

ふかわ:サービスの匂いは、その「ついで感」から漂うものなんですかね? 僕の感覚は言語学的には間違えていないということですか。

川添:私もそう言われたら、サービスだと思ってしまいます。ふかわ:店員さんにしてみたら、上司に添加剤も売るように言われていて、でもなかなか売れないから、苦肉の策で生まれた言い回しなのかもしれません。

同じ例として、近所に来ていた庭師さんに「おたくの枝も道路に出ているから切っておきましょうか」って言われてお願いしたら、やはりお金を取られたという。これも「ついでにやりますよ」というサービス感が出ていますよね。

川添:これは気をつけないといけませんね。「〜しておきましょうか」は警戒ワードと思っておいていいかもしれません。

ふかわ:もし訴訟になったら、どっちが勝つんでしょうか。

川添:法律のことはよくわかりませんけど、残念ながら「相手が噓をついた」と主張するのは難しいと思います。「紛らわしい言い方をして、不誠実だ」と主張することはできるとは思うんですけど。

というのも、「~しておきましょうか」と言ったからといって、「無料です」とか「サービスです」と言ったことにはならないんですよね。その証拠に、「~しておきましょうか? ちなみに有料ですけど」と言っても、矛盾にはならない。

「あたかもサービスであるかのように匂わせる」ということと、「発した言葉そのものに『サービスだ』という意味が含まれる」ということは、似ているようで違うんです。前者のような「匂わせ」は後からいくらでも誤魔化せるので、要注意です。