令和3年度時点で119.5万世帯といわれている母子家庭(厚生労働省「 全国ひとり親世帯等調査」)。昨今の物価高の影響もあり、その生活は厳しさを増しているようです。公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン代表理事である今井悠介氏の著書『体験格差』(講談社)より、ひとり親家庭の厳しい実態について、シングルマザーとして二人の子どもを育てながら“とある資格”の取得を目指す菊池さん(仮名)の事例を紹介します。
パート月収10万円のシングルマザー、“関わりたくない”元夫に「感謝です」のワケ【ひとり親世帯の実態】 (※写真はイメージです/PIXTA)

パート代と養育費以外の貴重な収入源

―現状の収入は給料と養育費以外にありますか。

 

あとは公的な手当ですね。児童手当、児童扶養手当、自治体からの手当があります。貯金は増やせないけれど、減りもしないというところで何とか収めたいと思っています。

 

ただ、児童扶養手当が18歳までで、今は本当にそれに頼っているので不安です。今年は長男が10歳の年で、あと8年で手当が減り始めます。そういう不安もあって、社労士の資格を取っておこうって。自力で稼げるようにしておかないと。

“朝から晩まで子供と一緒”から脱却するためにも働く

―お仕事は離婚のタイミングで始められたんですか。

 

そうですね。大学を出た後に新卒で入った会社でも人事の仕事をしていたんですが、結婚したあとに一度辞めていて。離婚を機に再び働き始めました。

 

働くのは自分の精神的にもいいのかなと思っています。働かなければ、子どもたちと朝から晩まで一緒です。どうしても親子3人で近い関係になるので、物理的に離れるというか、接触時間を短くするほうがうまくいくのかなとちょっと思っていて。

 

子どもが小さい頃も、働いている間は保育士さんたちに見てもらえたのが良かったですね。今でも、家にいるといつの間にか3人がみんなソファに集まってきて一緒に座ってたりするんですよ。毎日暑いのに。だから、家から出る時間をつくったほうがいいなって。

 

―大人にとっても、子どもにとっても、それぞれの時間をつくることは大事そうですね。

 

小学生になったので、公園でも児童館でも自分で行けます。上の子は自転車に乗れるようにもなりました。今年のお正月に練習したんですけど、大好きになって毎日乗り回しています。自転車は元夫が買いました。

 

上の子が特に児童館が大好きで、休みの日に行ったりしています。体育室で遊べたり、図書室で本を読んだりできます。予約すれば、クッキングとか、街の探検隊とか、イベントにも参加できて。工作系とか、映画を観たりとか。

 

児童館は交通費や材料費以外はすべて無料なので助かっています。食費だったり物の値段がどんどん上がっていて、切り詰めるとしたらやっぱり遊びに行くお金からになってしまいますね。給料は全然上がっていないですし。