令和3年度時点で119.5万世帯といわれている母子家庭(厚生労働省「 全国ひとり親世帯等調査」)。昨今の物価高の影響もあり、その生活は厳しさを増しているようです。公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン代表理事である今井悠介氏の著書『体験格差』(講談社)より、ひとり親家庭の厳しい実態について、シングルマザーとして二人の子どもを育てながら“とある資格”の取得を目指す菊池さん(仮名)の事例を紹介します。
パート月収10万円のシングルマザー、“関わりたくない”元夫に「感謝です」のワケ【ひとり親世帯の実態】 (※写真はイメージです/PIXTA)

離婚した元夫との「面会交流」は子どもにとって重要な体験

―お子さんたちと父親との関係は続いていますか。

 

はい。月に一度の面会交流があります。いつもファミレスなんですけど、希望すれば焼肉にもお寿司にも行けます。費用は元夫が出します。私が外食に連れていくのは無理なので、子どもにとっては重要な体験ですよね。

 

子どもたちは父親が好きだし、父親であるっていうのは変わりがないので。どこかに連れていってもらったり、何かを買ってもらうのも好きですし。だから、私が関わりたくないからといって勝手に関係を切ってしまうのはね、違うのかなと。

 

お金のことも、「母にお金がない」という事実だけを知ってると子どもたちも不安になるじゃないですか。「父にはある」とわかっていれば、何かあったときに助けてもらえるという気持ちになるかなって。

 

ほしいものがあるときも、二人はあまり我慢せずにとりあえず言いますね。「だめだと思うんだけどさ」みたいな前置きはありつつ。

 

―父親との関係で子どもたちができている体験というのもあるわけですね。

 

例えば、上の子は小学校に上がるときに私がディズニーランドに連れていきました。やっぱり1回行ったことがあるのとないのとでは全然違うと思って、経験させてあげたくて。

 

下の子は今度の面会交流でディズニーランドに行くことになったので良かったと思っています。そういう意味では元夫に感謝です。ディズニーランドのチケットも昔に比べてだいぶ高くなりましたよね。1万円を超えてるときもあって。

 

キャンプとかバーベキューとか、アウトドア系もさせてあげたいんですけど、色々と物を準備しないといけなかったり、車がないと不便とか、自分ではハードルが高くてできていないです。

 

 

インタビュイーのプライバシーに配慮して名前は仮名とし、一部の情報に加工を施している。

 

今井 悠介
公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン
代表理事