月曜日に起きた大暴落

そんなある日のこと、佐々木さんに衝撃の出来事が起こります。日経平均株価を毎日確認することが日課だった佐々木さんは、この日も期待を胸に日経平均株価を確認しました。しかし、その日の日経平均株価は大暴落を起こしており、実に10%近い下げ幅を記録していました。

これまでの含み益125万円が一転、1日で-125万円の赤字に転じるという結果に。佐々木さんは「一日で資産が125万円も減ったぞ。これはまずいのでは?」と心配になりましたが、経済ニュースなどでは、一時的な下落というアナリストの解説もあったため、数日で戻るだろうと言い聞かせ、気持ちを落ち着かせました。

しかし、日経平均株価の下落は止まりません。日に日に自身の含み損が膨らみ続けます。そのうち佐々木さんは含み損をみるのが嫌になり、日経平均株価の確認をするのをやめてしまいます。

日経平均株価については一時的に反発する日はあるものの、最終的には購入当初の20%まで下落してしまいました。それから数日後の朝のニュースで、またも日経平均株価が大暴落した情報が入ります。佐々木さんは恐る恐るパソコンを起動し、自身の資産状況を確認すると、2,500万円あった佐々木さんの資金は、なんと1,800万円まで目減りしていました。

「どうすればいいんだ。頼むから誰か、嘘だと言ってくれ……」

経済ニュースもまだまだ下落が続く可能性があるなどとネガティブな情報が飛び交っています。さすがにこの状況に耐えられなくなった佐々木さんは、持っていたすべての投資信託を売却。投資を開始して5ヵ月後の出来事でした。

わずか5ヵ月で700万円を失ってしまった佐々木さんは放心状態です。「なんてことをしてしまったんだ。おれの退職金が……」と自分を責めます。

その翌日、さらに信じられないことが起こりました。連日下落を続けてきた日経平均株価が大幅反発したのです。これを境に日経平均株価は上昇に転じ、大暴落が起こる前の株価に戻ったのでした。

茫然自失の佐々木さん。「売らずにそのまま保有しておけば、損失を被ることはなかったのか」と頭を抱えます。取り返しのつかない事態に直面し、自身の判断を後悔するのでした。