61歳で定年退職、2,500万円の退職金を手にした佐々木さん

佐々木智哉さん(仮名)は長年、小学校の教員として勤務しており、このたび61歳で定年退職を迎えることになりました。いつも笑顔で優しい雰囲気の佐々木さんは子どもたちからも人気があり、保護者や同僚の先生からも愛される存在でした。専業主婦の妻と3人の子どもがおり、文字通り一家の大黒柱として、40年弱もの間、教員一筋で働いてきました。

退職後も「再任用制度」を利用し、引き続き小学校で働くことが決まっています。しかし、収入はいままでの半分程度まで減少。現在の生活水準では毎月3万円程度の赤字になってしまう見込みです。さらに現役時代、子ども3人の教育費や母の介護費用などの影響で、なかなか貯金が進まなかった佐々木家の貯金額は、300万円にとどまっている状態。そのため、定年退職に際して受け取る退職金2,500万円が、これからの生活の大きな支えとなる予定です。

退職金を受け取ってから数日後、佐々木さんのもとへ1本の電話が鳴ります。電話に出てみると、電話の相手は給与振込で利用している銀行からです。

退職金2,500万円で投資を始める決意をする

「佐々木様、定年退職おめでとうございます! 今回お振り込みさせていただきました退職金ですが、この資金で資産運用を検討してみてはいかがでしょうか? 退職金を有効に活用することで、老後生活をより充実させることができますよ!」と、銀行からの熱烈な勧誘を受けた佐々木さん。

ちょうど退職金2,500万円の使い道についてどうすべきか考えていたところだったので、一度話を聞いてみようと思い、後日面談を行うことにしました。

面談当日。銀行の別室に通された佐々木さんに、「佐々木様、本日はお時間をいただきありがとうございます。今回は佐々木様のお受け取りになられた退職金の活用についてお話しさせていただきたく思います」と、満面の笑みで語りかける銀行員。

佐々木さんはその圧に押されつつも、「最近NISAについての広告などが多いこともあり、資産運用については少し興味があったところです。しかし、いままで投資経験もありませんし、投資の知識もほとんどありません。そのような私が投資をしても問題ないのでしょうか?」と、気になっていたことを尋ねました。

「まったく問題ありません。むしろ人生100年時代といわれる昨今、投資をして効率よく資金を運用することは老後生活を送るうえで重要です」と銀行員に言われて、納得する佐々木さん。その後、銀行員から投資やNISA制度についてわかりやすく説明を受けたところで、銀行員が佐々木さんにある提案をしてきました。

「佐々木様の場合ですと、2,500万円とまとまった資金がありますので、NISAの年間上限240万円を活用し、残り2,260万円はNISAではなく、一般の口座を使って運用してみてはいかがでしょうか? もちろんリスクはありますが、仮に2,500万円を年利4%で運用すれば、年間100万円のリターンが見込めます。老後生活の大きな足しになるかもしれません」

佐々木さんも深くうなずきます。「確かに年間100万円のリターンが見込めれば、少しリスクを取るのも悪くないかもしれない。正直、これから少ない収入で生活することになるので、毎月の支出は赤字になってしまい困っているところでした」と即決してしまいます。

銀行員は「それではこの機会に口座開設等を進めていきましょう。売買自体は口座開設完了後にインターネットでおこなえます。また、何かご不明な点がございましたら、いつでもご相談ください」と案内します。

佐々木さんは丁寧な対応をしてくれる銀行員をすっかり信用し、退職金2,500万円を一括で投資に回すことを決意するのでした。

商品の購入後、順調に資産価値は上昇していく

その後、佐々木さんは証券口座を開設し、早速パソコンを起動させ商品購入に進みます。

銀行員からは、倒産の心配がなく、比較的リスクの低いインデックス型の投資信託を勧められたため、日経平均株価に連動した投資信託を購入することに決めていました。

最初は心配でドキドキする佐々木さんでしたが、購入直後から日経平均株価は順調に上昇し、購入してから3ヵ月で含み益は125万円まで膨れ上がります。佐々木さんはすっかり安堵し、「3ヵ月で125万円も資産が増えたぞ。この調子でいけば老後の生活はもっと楽になるかもしれない」と期待を膨らませていました。