高齢者には元気の源「セロトニン」が必須。別名「幸せホルモン」はたんぱく質から摂取できる

そもそも、身体の老化が始まるとエネルギー効率も悪くなります。食べたものが栄養として身体に取り込まれる比率が下がってくるのです。幼児や子どもの頃は身体に入ってくるものがどんどん栄養として取り込まれ、ぐんぐん成長します。


ところが高齢になると細胞も老化してきますから、代謝が悪くなってしまうのは仕方ありません。「だからこそ、食べ物でエネルギーを補充しなければいけない」ということです。成長期の子どもは食べなければ育ちませんが、高齢者は食べなければ萎んでしまうのです。若い頃よりむしろ、吸収が落ちたと考えれば余計に栄養分を摂らなければいけないことになってきます。


そのときに欠かせないのが、前述のたんぱく質です。用途も多く、筋肉や骨格を丈夫にするのがたんぱく質なのです。肉類だけでなく魚介類や乳製品、植物性食品にも含まれていますから食材の範囲が広く、しかも料理がバラエティに富んできます。そして、たんぱく質と一緒に覚えておいてほしいのが「セロトニン」というホルモンです。


たんぱく質に含まれるアミノ酸の一種であるトリプトファンはセロトニンの原料になります。セロトニンは別名「幸せホルモン」とも呼ばれるくらい、脳内で作用すると、私たちの気分を明るく解放的にしてくれます。うつの予防や治療にも使われる神経伝達物質ですから、たんぱく質を摂ることで生活が朗らかになっていきます。


もし、高齢のご夫婦で、毎晩サラサラとお茶漬けを一緒に食べているというような暮らしをされているなら、それも味わいはあるでしょうが、「たまには贅沢しよう」と割り切ってすき焼きなどお肉を食べたほうが、はるかに幸せな気持ちになります。そういう幸福感を、どんなに高齢になっても日常の中に持ち続けてほしいのです。そんな幸福感を生み出すのが肉や魚料理のたんぱく質なのです。