個人や会社員向けの節税対策をわかりやすく紹介
ここからは、会社員向けの節税対策を7つ紹介します。
節税対策(1)扶養控除
給与や年金による年間所得金額が一定以下の親族がいる場合、その親族を扶養に入れることで「扶養控除」が適用されます。同居している扶養親族以外でも扶養控除の対象となるため、仕送りをしている子・親にも適用可能です。
控除対象となる扶養親族は、以下の要件をすべて満たしている方が該当します。
・その年の12月31日時点で16歳以上である
・配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)である
・納税者と生計を一にしている
・年間の合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は103万円以下)である
・青色申告者の事業専従者としてその年給与を一度も受け取っていない、あるいは白色申告者の事業専従者ではない
また、扶養親族の年齢によって控除額が変わります。
・16歳以上の控除対象扶養親族:38万円
・19歳以上23歳未満の特定扶養親族:63万円
・70歳以上の老人扶養家族(同居老親など):58万円
・70歳以上の老人扶養家族(同居老親以外):48万円
もし当てはまる親族がいるなら、ぜひ活用しましょう。
節税対策(2)医療費控除
その年の1月1日~12月31日に高額な医療費を支払っている場合、「医療費控除」を適用することで節税可能です。これは納税者本人だけではなく、同一生計の配偶者や子のために支払った医療費も含まれます。
医療費控除の対象は幅広く、診療費用や医薬品購入費用に加えて、柔道整復師による施術費用や病院までの交通費などにも適用されます。一方、美容目的に関する費用は対象外なので、あらかじめ注意しましょう。
なお、医療費控除では以下のような計算式で控除額を算出します。控除を受ける場合、確定申告の手続きが必要です。
控除額=1年間に支払った医療費の合計額-保険金などで補填された金額-10万円
※総所得金額が200万円以下の場合、10万円ではなく「総所得金額の5%」を差し引く
節税対策(3)セルフメディケーション税制
「セルフメディケーション税制」とは、医療費控除の特例として新しく定められた控除制度です。厚生労働省が規定している対象の医薬品(スイッチOTC医薬品)を購入した場合、所得控除を受けられるので、結果的に節税できます。
従来、医療費控除は1年間の医療費が10万円以下だと申請できず、適用できる方が限られていました。一方、セルフメディケーション税制は医薬品購入費用が1万2,000円以上なら申請できるので、大幅にハードルが低くなっています。生計を一とする家族分も合算できるため、すぐに到達しやすい金額です。
ただし、セルフメディケーション税制を申請する場合、健診や予防接種をきちんと受けていることが要件となります。また、医療費控除との併用ができない点にも注意しましょう。
節税対策(4)生命保険料控除・地震保険料控除
生命保険・地震保険に加入している場合、その保険料についても控除が適用されるため、所得税・住民税の負担を減らすことが可能です。年末調整の際、保険会社から送付される控除証明書を勤務先に提出しましょう。
生命保険料控除の場合、以下のように契約時期の違いで控除額が変動します。
<2012年1月1日以降の契約>
年間の支払保険料 控除額
2万円以下 支払保険料全額
2万円超4万円以下 支払保険料×1/2+1万円
4万円超8万円以下 支払保険料×1/4+2万円
8万円超 一律4万円
<2011年12月31日以前の契約>
年間の支払保険料 控除額
2万5,000円以下 支払保険料全額
2万5,000円超5万円以下 支払保険料×1/2+1万2,500円
5万円超10万円以下 支払保険料×1/4+2万5,000円
10万円超 一律5万円
一方、地震保険料控除の控除額もまとめました。
年間の支払保険料 控除額
5万円以下 支払保険料全額
5万円超 一律5万円
どちらも控除額に制限があるので、必ずしも全額控除されない点には注意しましょう。
節税対策(5)住宅ローン控除
住宅ローンを組んでマイホームを購入したり、自宅のリフォームを行なったりした場合、一定の要件を満たすことで「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」が適用されます。初回は確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整での手続きが可能です。
住宅ローン控除は2022年の税制改正により、さまざまな点が変更されています。税制改正以降に住宅ローン控除を受ける場合は、以下のような要件を満たさなければなりません。
・控除が適用される年の12月31日まで居住している
・特例居住用家屋、または特例認定住宅等の場合、床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満で、2分の1以上が居住用、かつ控除を受ける年の合計所得金額が1,000万円以下
・上記の住宅以外の場合、床面積が50平方メートル以上で、2分の1以上が居住用、かつ控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下
・住宅ローンの借入期間が10年以上
・贈与によって得た住宅ではない
また、控除率・控除期間・控除限度額についてもまとめました。
新築住宅 中古住宅
控除率 0.7% 0.7%
控除期間 13年 10年
控除限度額 年間35万円 年間21万円
節税対策(6)特定支出控除
「特定支出控除」とは、給与取得者が仕事に関する経費(特定支出)を自己負担し、その合計金額が給与所得控除額の1/2を超えた際、最大125万円まで所得控除が適用される制度です。特定支出の代表例としては、以下のような項目が挙げられます。
・通勤費:出社・退社の際にかかる交通費
・転居費:転勤の際にかかる引越し費用など
・研修費:仕事上必要な研修を受けるための費用
・資格取得費:仕事上必要な資格を得るための費用
・帰宅旅費:単身赴任などで赴任先と自宅を往復するための費用
・勤務必要経費:仕事に関する書籍や制服の購入、接待に要する費用(上限は65万円)
なお、特定支出控除を受けるためには、会社から「特定支出に関する証明書」を発行してもらったうえで、確定申告を行なう必要があります。
節税対策(7)ふるさと納税
「ふるさと納税」とは、自分が生まれ育った地域や応援したい地域の自治体に対し、お金を寄付する形で支払う制度です。寄付金のうち2,000円を超える部分は、寄附金控除の対象となります。
例えば、ふるさと納税で応援したい地域に5万円を支払った場合、寄付金から2,000円を差し引いた金額48,000円が、翌年の住民税や所得税から減額されます。つまり、翌年の税金を前払いしているだけなので、現金自体が増えるわけではありません。
そのため、実質的な節税効果はありませんが、ふるさと納税をすると納税先から寄付金の30%以内の返礼品が届くので、トータル的に考えるとお得です。地域の名産品やグルメ、あるいは家電製品やギフト券といったものまで、返礼品は自治体ごとに異なるので、選ぶ楽しさがあることも魅力といえます。
また、教育・子育て・まちづくりなど、寄付金の使い道を選べることもポイントです。
現物不動産投資でも節税可能!税金を安くする方法とは?
会社員向けの節税対策の一つとして、現物不動産投資のノウハウも解説します。
所得税・住民税を減らす方法
現物不動産投資に取り組む場合、投資用物件を購入・運用するうえで多種多様な費用がかかってきます。それらを確定申告で経費として計上すれば、所得税・税金を抑えることが可能です。
経費計上できる項目をまとめたので、こちらも併せてご確認ください。
・租税公課:不動産取得税・固定資産税・都市計画税など
・損害保険料:火災保険や地震保険の保険料
・減価償却費:不動産の取得費用について法定耐用年数に応じて配分し、当該年に相当する分の金額
・借入金利息:不動産投資ローンの利息
・管理費:管理会社に支払う手数料
・修繕費:設備修理や壁・床の貼り替えなどにかかる費用
・広告宣伝費:入居者募集にかかる費用
・交通費:電車賃・ガソリン代・宿泊費用など
・接待交際費:関係者との打ち合わせで支払った飲食費など
・通信費:関係者とのやり取りで使う電話・インターネットの料金
・新聞図書費:情報収集のために購入した新聞や書籍の費用
・消耗品費:管理業務で使うパソコンやプリンターの代金
なお、不動産所得は総合課税の対象で、黒字所得から赤字所得を差し引く「損益通算」が可能です。もし不動産投資が赤字になった場合、給与所得と相殺できるため、結果的に節税へとつながります。
また、上記でも挙げている「減価償却費」は、経年劣化とともに下がる賃貸物件の価値を、定められた期間に沿って経費計上できるというものです。木造・中古物件は耐用年数が短い分、償却期間も短くなるので、高い節税効果が見込めます。
相続税を減らす方法
不動産投資での節税を語るうえで、もう一つ忘れてはいけないポイントが相続税です。数ある相続税対策と比べても、不動産投資は特に効果的だといわれています。
相続税とは、故人から資産(現金・不動産・株式・自動車など)を受け継ぐ際、相続人が支払わなければならない税金のことです。日本は相続税の税率が10~55%と世界的に見ても高いうえ、税制改正によって基礎控除額が下がったので、実質的に増税されています。
不動産の相続税は「相続税評価額」から算出されますが、ここが節税のポイントです。不動産は現金より相続税評価額が20~40%ほど低くなるので、現金を不動産に変えることで節税につながります。
例えば、1,000万円の現金を相続した場合、そのまま1,000万円に対して課税されますが、同額の不動産なら相続税評価額は600~800万円程度なので、相続税も減るということです。
また、不動産を賃貸にすれば、貸主であっても自由に活用できなくなるので、さらに相続税評価額が下がって節税効果も高まります。
気軽に不動産投資を始めたいなら「COZUCHI」がおすすめ
節税対策を実践することは大切ですが、現物不動産投資におけるメインの目的はあくまで資産を増やすことです。不動産投資はメリットだけではなく、空室リスク・家賃滞納リスク・災害リスクといった懸念事項も多いので、節税ばかりにとらわれていると思わぬ失敗をするかもしれません。
不動産投資に初めて取り組む場合、自分だけで進めるのではなく、不動産の知識が豊富なプロに相談することをおすすめします。
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また、一定の節税効果も期待できるうえに、不動産投資に関する各種手続きや管理業務、運用業務などはプロの担当者にすべて任せられるので、初心者の方でも安心です。投資後は配当の振込を待つだけなので、何か対応に追われることもありません。
さらに、購入手数料や運用手数料が“無料”という点もCOZUCHIの魅力です。高いお金をかけることなく、気軽に不動産投資をスタートできます。「不動産投資に興味はあるけどお金がない」「大金を投資するのは怖い」という方にはピッタリのサービスです。
まとめ
一般的に会社員は節税とあまり縁がないと思われがちですが、それは大きな誤解です。扶養控除・医療費控除・住宅ローン控除・ふるさと納税など、会社員でも取り組める節税対策は数多く存在します。節税に成功すれば、手元のお金も増えるため、さまざまな用途に役立てられるでしょう。
また、不動産投資においても一定の節税効果が期待できます。節税だけではなく、資産形成の方法としても有用なので、ぜひ取り組んでみてはいかがでしょうか。
【監修者】
名前:金子 賢司
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信している。
保有資格:CFP