元プロ野球投手として通算244勝を挙げ、監督としては5度の日本シリーズを制覇した工藤公康(くどう・きみやす)さん。“中間管理職”としての野球監督のあり方や組織運営、試行錯誤しながら生まれたリーダーの姿などについてつづった『プロ野球の監督は中間管理職である』(日本能率協会マネジメントセンター)を上梓しました。「中間管理職」について、工藤さんにお話を伺いました。
「どんなに年齢を重ねても挑戦は続く」
――どんなに年齢を重ねても挑戦は続くのですね。
工藤:私は選手として5球団を経験しましたが、どの球団も違います。勝たなければいけないプレッシャーもそうですし、自分の役割も違ってきます。
今まで自分がやってきたこととは違うことをやってくれと言われたときに「嫌です」と言ったらそこで終わり。でも、そこで「また新しいことにチャレンジができるな」と思えば新たな道が開けてくる。つまらない人生にするのも自分、楽しい人生にするのも自分、自分の考え方一つで変わるわけです。
私は「二軍に行ってリリーフやってきてくれ」と言われたら「わかりました」と言ってやりました。声がかかるかどうかは別です。でも、「新しいことに挑戦して、リリーフが経験できる。これ、絶対に自分の将来に関して言うとプラスになるんだろうな」と思ってやっていました。
仕事として割り切るということではなくて、自分が奮い立ってやっていかないと何事もつまらない。全てのことにチャレンジしていくんだと。そうすると必ず何かが見えてきます。
自分が率先して動いていると「この年齢でもあの人は全部自分でやっている。でもできないことはできる人に頼っている。自分で動いて自分が楽しくなるように頑張っている」という姿や行動が少なからず他人にも影響を及ぼすことにもなります。
逆に言えば、他人に影響を及ぼすような年齢になったら、その影響が及んでいるんだと理解して、自分の仕事をしっかりやるべきなのではないかなと思います。それが年齢を重ねるということなのかもしれないですね。
THE GOLD60編集部