うまく雑談できる人は 質問ボメを使いできない人は 「すごいですね!」とほめる。

「松橋さんって、文章がうまいですよね」「いえいえ、そんなことはないですよ。村上春樹とかに比べたら私なんてぜんぜんです」失礼しました。実際には村上春樹と比べたことなんて一度もありません。ですが、こんなふうにほめられたら、ついつい自分を落としてしまうというのが日本人の性かもしれません。


ほめる側としては、「松橋さんに喜んでほしい!」と思ってほめてくれています。でもこのほめ方だと、謙虚さを見せたくなり、否定してしまいやすいのです。そこで、もっといいほめ方をご紹介します。それが質問ボメです。これは潜在意識の活用方法スキルの中の、前提を埋め込むスキルを応用しています。


「前提を埋め込む」とは、それがすでに当然であるかのような文脈にするということです。営業の場合なら、「それではこの商品を申し込みされますか」とストレートに迫ると、「いえ、よく考えてから返事します」と断られやすくなります。


そこで「それでは商品を使うとしたら、松と梅のどれがいいなと思いましたか?」「そうですね、どうせなら松ですね」「でしたら金額は○○円です。一括払いと分割払いでしたらどちらがよろしいですか?」「じゃあ、一括払いで」「承知しました。ではこちらの申し込み用紙のご記入ですが……」


このように「すでに申し込みを決めているでしょ」という前提を埋め込んで話を進めていく話法は、決断のストレスを感じさせません。訓練を積んだ営業ならみんながやっている話法ですので、普段から使いこなせると、コミュニケーションがスムーズになります。


「松橋さんって、文章がうまいですよね」これを次の様に変えてみましょう。「松橋さんって、どうしてそんなに文章がうまいんですか?」この言い回しは、「すでに文章がうまいのは当然のこと」を埋め込んでいます。そして言われた方の意識が向くのは、「どうしてうまいのか?」という質問の方です。


この質問をされると自動的に「うまい理由はなんだろう?」と検索を始めてしまい、謙遜へ意識が向かうことがなくなります。「そうですねえ。山口拓朗さんの本で勉強したのが大きいですね。あとは本を何万冊も読んできたからですかね」ついついこのように、謙遜をする余裕もなく、「文章がうまい」というほめ言葉は素直に受け取ってしってしまうのです。


「どうしてそんなに○○なんですか?」ほめる際には、この基本形を駆使しましょう。ほめることは、相手とのコミュニケーションを活性化し、より良い関係性を築くための有効な手段です。このテンプレートを使って相手をほめつつ、さまざまなノウハウを教えてもらってください。お互いに、とてもいい関係が築けるでしょう。


【ポイント】


「どうしてそんなに○ ○ なんですか? 」を口ぐせにしちゃいましょう!
 

一般社団法人日本聴き方協会代表理事
松橋良紀