帰省時にチェックしたい要介護のサインは?

調査の結果を受けて、「LIFULL 介護」の小菅秀樹編集長が「帰省時にチェックしたい要介護のサイン」についてコメントを寄せました。(以下、小菅編集長コメント)

小菅:電話からビデオ通話などリモートでコミュニケーションできる手段は増えましたが、やはり対面で得られる情報は多いものです。帰省時にチェックすべきポイントを知っておくことで、介護サービスの開始や老人ホーム入居のタイミングを見失わないようにできるでしょう。

(1)健康状態をチェック
以前よりもやせ細っている場合は食事内容を確認してみましょう。調理が面倒であれば宅食サービスを活用する方法もあります。また、親の持病や通院頻度、薬の管理がきちんとできているかもチェックします。

一緒に外出すると「歩くペースが極端に遅くなった」、「手すりがないと階段が上れない」など身体機能の低下がうかがえる機会になるでしょう。健康と要介護の間を指す「フレイル」の疑いもあります。早期対応で改善も期待できるので、地域包括支援センターなどに相談してみるとよいでしょう。

(2)生活の様子をチェック
生活で困っている事はないかをチェックします。意外と多いのが「重くてゴミ出しができない」、「草むしりなど庭の手入れができない」というもの。民間でサービスを提供している場合もあれば、地域によっては安価で利用できる行政サービスがある場合も。

また、「冷蔵庫に同じ食材が大量にある」「郵便物や書類が散乱している」などは認知症の代表的なサインです。認知症の進行スピードは個人差があるので、今困りごとがなくても放置せず、かかりつけ医などへ相談しましょう。

高齢者が老人ホームを検討する2つのタイミング

小菅:高齢の親が一人暮らしをしていると、子供としてはその生活に対して不安を感じることが多いもの。実際に、老人ホームへの入居を考え始めるタイミングにはいくつかの共通点があります。

(1)親の健康状態が悪化したとき
例えば、脳疾患や転倒による骨折など突発的に入院したときや、慢性的な病気が進行している場合です。

(2)認知症の症状が見られるとき
金銭管理ができない、トイレの失敗が増える、外出先から帰宅できない等の、認知症の症状が見られる場合。

今回の調査では、老人ホームのことを考えている人は半数以上いる一方で、実際に話し合っている人はわずか17%に過ぎないという結果が出ています。

おそらく、家族が「まだ早い」と思ったり、「施設の話をすると親に反発されるのでは」といった不安を抱えていらっしゃるのかもしれません。しかし、先延ばしにしていると、いざ検討しなくてはならないタイミングで「時間が十分にない状態」に陥ることも少なくありません。

いずれは老人ホームに、というのが親子の共通認識であれば、早めに話し合うことで、時間をかけて親の希望に合った施設を見つけることができます。

親にとっては住み慣れた自宅を離れる寂しさもあるでしょう。早めに話し合うことで、少しずつ荷物を処分しながら気持ちを整理でき、お互いに納得した上で住み替えができます。

さらに、家族間での意見のすり合わせも重要です。兄弟姉妹や親族との間で意見の違いがある場合、早めに話し合うことで、合意に至るための時間が取れます。

一人暮らしの高齢の親について考える際には、必要以上に連絡を取る必要はないものの、普段から気に掛けることが大切です。親は子供に心配かけまいと自らSOSを出しません。電話だけで判断できない事もあるので、生活の様子を直接見る機会をつくりましょう。

■調査概要
調査主体:株式会社LIFULL senior
調査期間:2024年7月9日〜7月10日
調査対象:離れて暮らす一人暮らしの親を持つ40歳以上の男女873名   
調査方法:インターネット調査

THE GOLD 60編集部